「財政のしくみや用語は複雑でわかりにくい」という言葉をよく耳にします。そこで今治市の財政をもっと身近に感じてもらうため今治市のオサイフ事情(財政状況)を、できるだけ「わかりやすく」「簡単に」紹介します。
※本紙16~19ページ参照
家庭と市役所では、お金の使い道が違うので単純に比べられませんが、一般会計の予算(777億円)を1か月あたり41万6,000円(年間500万円)の家計に置き換えてみると…
収入(合計):41万6,000円
・給与…26万3,000円
[内訳]
基本給12万6,000円(市税、使用料など)
手当13万7,000円(地方交付税など)
・親などからの援助…8万9,000円(国・県支出金)
・ローン借り入れ…2万4,000円(市債など)
・その他…4万円(繰越金など)
〔ポイント〕
給与のうち、基本給の多くが市民の皆さんが納めた市税です。手当のうち地方交付税は、どの市町村も標準的なサービスを受けられるよう地域間格差を解消するため、国から交付されるものです。
国・県支出金は生活保護や道路整備など市の事業の一部を国や県が一定割合負担するものです。
支出(合計):41万6,000円
・食費…7万4,000円(人件費)
・日用品や光熱水費などの生活費…7万3,000円(物件費など)
・医療費・保育料など…9万4,000円(扶助費)
・家屋の増改築・車の購入など…4万円(普通建設事業費など)
・子どもや家族への仕送り…8万6,000円(繰出金、貸付金など)
・ローンの返済…4万3,000円(公債費)
・預貯金…6,000円(積立金など)
〔ポイント〕
医療費・保育料など(扶助費)、ローンの返済(公債費)、食費(人件費)の3つは「義務的経費」と呼ばれています。これが多いのは、家計にあまり余裕がないことを示していますが、今治市の義務的経費の割合は52.5%で前年に比べて0.3%改善しています。
Q:「どれだけあるの?今治市の借入金」
5年連続借入金を減らしています!
平成29年度から令和4年度まで5年連続で借入金を減らし続けています。
・今治市の借金(市債残高)の推移
Q:「今治市の貯金はいくらある?」
令和元年度以降、毎年貯金を増やし続けています。貯金は3年間で約57億円増加しました。
・今治市の貯金(基金)の推移
今治市が災害等の財源不足に備えるための貯金:173億円(令和4年度末財政調整基金残高)
「今治市の財政規模の目安の90億円を大きく上回っています。」
Q:「今治市の財政状況は大丈夫?」
市町村毎に収入や支出の内容が異なっているなかで、全国統一の指標で財政情報を比較できる「健全化判断比率」という指標があります。
実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率および将来負担比率の4つの財政指標の総称で、いずれかの指標が基準以上になると財政健全化団体または財政再建団体になります。今治市はいずれの比率も良好ですので、健全財政を維持しています。
Q:「なぜお金をかりるの?」
「借金(市債)は少ない方が良い」と考えるのは当然ですが、道路、学校、公園などの公共施設の整備には多額の費用が必要です。これらの費用を1年間で支払うと、その1年は他の事業ができなくなってしまいます。また、公共施設は将来にわたって市民が利用するものであり、負担の公平性を図る観点から市債を活用して世代間で平等に費用負担していただくものです。さらに、市債の返済(償還金)には国から仕送り(交付税)があります。
市債の残高は、令和4年度末に一般会計で602億円となっています。これまで小中学校の耐震化や新ごみ処理施設(バリクリーン)など施設の整備や道路事業に活用してきました。
◎これからの取り組みについて
合併後の大型事業が一段落し、今治市の財政状況は、着実に改善しています。もちろん、心配がまったくないわけではありません。人口減少が避けられない中で、市税収入の増加は期待できません。一方で、老朽化が進んでいる公共施設等の更新などに、多くの予算が必要です。そうした状況にもしっかりと対応できるよう、持続可能な財政運営に努め、選択と集中による「真に役立つ施策」を展開してまいります。
~まとめ~
令和4年度の収支は約51億円の黒字
歳入:今治市に入ってきたお金…827億円
歳出:今治市が使ったお金…776億円
■新しい財源の獲得(令和4年度)
・ふるさと納税(決算約11億円)
・未利用財産の積極的な売払い(不動産売払収入約3,000万円)
・バリクリーンのごみ焼却熱を利用した高効率発電による余剰電力の売払い(年間約2億円の収入)
・事業目的に応じたクラウドファンディング(約1,200万円)
これからも「ずっと住み続けたいまち」として持続的で魅力あるまちづくりに取り組みます。
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