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自治体の皆さまへ

特集 つなぐ、備える。-被災地から学ぶ、地震防災- 1

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愛媛県八幡浜市

■被災地での経験から学ぶ、大災害のリアル
令和6年元日に発生した能登半島地震では、人命だけでなく、水道・電気・道路などの公共インフラにも甚大な被害が発生し、今なお被害の全容がつかめていません。今回の地震から、「災害は、いつ、どこで起きてもおかしくないこと」や「南海トラフ巨大地震への備えの大切さ」を再認識した方も多いのではないでしょうか。
八幡浜市では、被災地の復旧・復興を願い、随時、職員を能登半島に派遣しています。今回は、能登半島で被災地支援活動を行った市立八幡浜総合病院DMATと市職員の活動報告や、東日本大震災の被災者を講師に招いた語り部講演会の内容から、被災地のリアルを紹介します。
災害時の「自助」・「共助」について、一緒に考えてみましょう。

■報告、能登半島地震被災地支援を経て。
能登半島地震を受けて、八幡浜市内の公共機関からも被災地支援に職員を派遣しています。
被災地の現状を、市立八幡浜総合病院DMAT(※)と市職員派遣チームによる報告をもとにお伝えします。
※DMAT…災害派遣医療チーム

◆報告(1) 正確な情報伝達が重要
市立八幡浜総合病院
DMAT医師 大野篤志さん

○災害時の医療現場のリアル
私たちは石川県穴水町を拠点に活動しました。このエリアは電気・通信などはかなり復旧していたものの、水道や道路などは大きな被害を受けており、未だ復旧には至っていません。
私たちが担当した業務は、医師・看護師の業務サポート全般(ER業務)や、患者の搬送業務です。普段とは違う慣れない環境で、現地の設備と自分たちの技能を頼りに医療業務にあたるという、自分たちの実力が試される機会になりました。
搬送元は避難所や高齢者施設からのものがほとんどでした。また、患者の症状で多かったのは、発熱や意識障害、感染症、脱水などです。二次感染を防ぐためにも、水が自由に使えない状況でしたが、かなり神経を使って消毒などを行いました。ここでは、普段からの感染症対策の意識付けが役に立ったと思います。
また、「院内スタッフも被災者」という視点も大切にしてきたことです。家族や自宅が被災し、心身ともにストレスを抱えているスタッフも多く、彼らへの感謝や労いの心とともに、「ER業務はDMATで完結させる」という強い意志で臨みました。

○災害時には臨機な対応を。
今回の派遣は、災害時だからこそ正確な情報伝達が大切であることを実感する機会となりました。現地ではホワイトボードを中心に情報をまとめていましたが、常に最新の情報を共有しておくことは基本にして最も重要なことです。また、患者家族らへの連絡も厳格に対応する必要があると痛感しました。
市立八幡浜総合病院も災害拠点病院としての役割を担っています。今回の経験で学んだことを共有し、災害時に臨機な対応を取れるようにしていきたいです。

◆報告(2) 地域での「共助」の大切さ
八幡浜市 総務課
危機管理・原子力対策室 山本基之さん

○「上下水道」が使えない生活
私たちは愛媛県からの要請を受け、「珠洲市立直(ただ)小学校へのトイレカーの貸出」と「輪島市鵠巣(こうのす)地区の避難所支援」の任務に就きました。両市とも震災で大きな被害を受けており、特に上下水道は全く復旧していなかった中で、直(ただ)小学校に設置したトイレカーはとても喜んでいただけました。
支援にあたった輪島市の避難所では、避難者・スタッフともトイレやシャワーなどが大幅に制限された生活を送っていました。こういった経験は私自身初めてのことで、本当に過酷なものでした。1月19日以降は校舎内にシャワーテントが設置されるなど、避難所の生活環境が改善され始めましたが、現地では今も我慢をしながらの生活が続いています。

○自主防災会などと連携して、市内の防災力強化へ!
そんな中でも八幡浜市の今後の防災に生かせると強く感じたのは避難所運営の手法です。鵠巣(こうのす)地区では、発災後すぐに役員が中心となって避難所運営が行われており、食事や備蓄物資の管理などの役割分担や、避難所生活のルールが決められていました。食事は、レトルト食品を温めるだけではなく、少し野菜を加えたり、アルファ米と白米を一緒に炊いたりと、とても考えて調理をされていたことが印象に残っています。
今回の被災地支援業務において、私たち3名の応援職員は、避難所を運営している本部役員や輪島市職員の支援はもちろんのこと、避難者に寄り添って活動しようと事前に話をしており、その行動を確実に実施できたと感じています。今回、被災地で感じた「共助」の大切さを、自主防災会などにもしっかり伝え、市内の防災力強化のために何ができるのかを考えていきたいです。

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