「まるでタイムスリップしたかのような内子旅へ――」
今、町民の皆さんのみ、伝統文化施設の「上芳我邸」「内子座」「商いと暮らし博物館(内子町歴史民俗資料館:以下、歴民)の入館が無料になっているのを知っていますか?まちの歴史や個性、その価値や魅力を知ることで、内子町への愛着や誇りを感じてほしいという取り組みの一環です。
そこで今月号の特集では内子町役場の職員2人にお願いして、3館を巡ってもらいました。日帰りできる明治・大正時代への旅です。距離的には近いけれど、時間的には遠い過去の内子への旅。タイムスリップしたかのような場所には、たくさんの驚きと発見があったようです。無料期間は9月30日まで。あなたも彼女たちのような時間の旅を楽しんでみませんか。
■重要文化財 上芳我家住宅
◆玉井 緑(みどり)さん
上芳我邸職員
製蝋業が盛んな頃、この屋敷は迎賓館的な使われ方をしていたようです。商談の場や、大切な客をもてなす場として使われていました。贅を尽くした造りで、どこを見ても見ごたえがあります。大きな大黒柱や、釘を一本も使っていない小屋組みは圧巻。欄間や持ち送りの装飾は細やかな美しさです。巨万の富を得た当時の繁栄がうかがえ、時代を超えて、もてなされている気分になります。
しだれ梅や紅梅がきれいに咲く、これからの季節が特におすすめです。映えスポットもたくさんあり、結婚式の前撮りの撮影をする人もいます。着物が似合う場所なので、いい写真が撮れると思いますよ。まちの歴史や当時の職人技のすごさなど、たくさんのことを感じられる上芳我邸。無料期間に、その魅力を改めて感じてください。
2月頃になると中庭にあるしだれ梅がきれいな花を咲かせてくれます。(左)毎年「20歳の記念式」に出席する皆さんには、内子町伝統文化施設の無料入館券を配布しています。歴史ある建物は振り袖にもよく似合います。ぜひ撮影してみてください。(右)
■重要文化財 内子座
◆多比良 雅美(まさみ)さん
雛太鼓/町並・地域振興課
内子座の魅力は誰もが舞台に立てること。私も和太鼓集団「雛太鼓」の一員として、この舞台に何度か立っています。舞台から見る昔ながらのシャンデリアや、2階の窓から差し込む光が館内を照らす光景もすてきです。見学でも花道や舞台に上がれるので、スター気分を味わえますよ。法被も自由に使えます。ここはプロの狂言や歌舞伎なども行われる場所。2階席や桝席にも座って、役者との距離感を想像してみてください。
内子座は秋から改修工事に入る予定なので、4~5年は見ることができません。町民の皆さんには、このチャンスにぜひ来てほしいです。催しの中には無料で見られるものもあります。建物の味わい深さはもちろんですが、内子座の輝きが増すのは使われているとき。観客として舞台を観るのもおすすめです。
舞台や花道の床下にある「奈落」も見学できます。昔は人力で回り舞台を動かしていました(左)内子座には館内を案内してくれるガイドがいるので、話を聞きながら見学するのもおすすめです。内子座愛あふれるガイドで、魅力を教えてくれます(右)
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