「春の全国交通安全運動」期間の4月6日から10日間、各地で交通安全の取り組みが行われました。春は新生活が始まる季節。ドライバーも新しい環境、慣れない場所で運転をする機会が多くなることから、全国的に交通事故が増える傾向にあります。
新入学児が初めて登下校をする春。慣れない通学路では、地域の皆さんの見守りが子どもたちにも保護者にも、大きな安心につながるはずです。今回の特集では、まちの交通安全のために取り組む皆さんを紹介します。子どもたちの安全を守るために私たちにできることを、改めて考えてみませんか。
■事故ゼロを目指して「ゆっくり走ろう」
交通死亡事故ゼロが続く内子町。継続に必要なことは、まずは一人一人の心構え――。大洲警察署内子交番所長の加藤政之さんに、県内の事故の状況や安全運転のために改めて気を付けたいことを聞きました。
愛媛県大洲警察署内子交番所長
警部 加藤 政之(まさゆき)さん
◇死亡事故ゼロを目指して
この春から内子交番に勤務しています。父も元内子警察署長をしていたこともあり、縁を感じています。4月の交通安全期間中は毎日、通勤・通学時間帯の見回りを行いました。通学中の子どもたちにあいさつをしたら「おはようございます」と元気な声で答えてくれたり、手を振ってくれたり――。地域の皆さんに大切に育てられているんだなと温かい気持ちになりました。内子町では交通安全協会の皆さんをはじめ、それぞれの地域で積極的に交通安全活動をしていただいています。取り組みの成果として4月4日には、900日間の交通死亡事故ゼロを達成しました。この数字がずっと続くよう、今後も町全体で交通安全の意識を高めていきましょう。
◇今、飛び出す「かもしれない」
今年、県内で起きた死亡事故は17件(4月26日現在)。前年同時期と比べ5件増加しています。そのうち大洲警察署管内では2件が発生。特に南予地方で発生件数が多く、直近では4月22日に宇和島署管内で死亡事故がありました。事故を起こしてはいけないと分かっていても、不意な飛び出しなどは予測がつきません。町内には見通しが悪く、曲がった先の見えない交差点もあります。危険な場所では、すぐに安全に停止できる速度で運転してほしいと思います。「いつもの道だから」と漫然と走っていると、いつか事故につながります。通り慣れた道ほど「かもしれない運転」と、時間と心にゆとりを持った運転を心がけてくださいね。
◇内子はゆっくり走るまちに
死亡事故につながる一番の原因はスピードの出し過ぎ。逆に言えば、速度を守ることが重大事故を防ぐポイントです。警察では速度超過の取り締まりを行いますが、皆さんに安全運転を意識してもらうことが目的です。また春は初心者ドライバーや、転居や転勤で新しく内子に来た人など、道に慣れない人が増える時期。道を間違えて急に止まったり曲がったりする車にも注意が必要です。でも地元の皆さんがゆっくり走れば、町外から来た人もゆっくり走ってくれるはず。まずは私たちが見本になりましょう。事故で悲しい思いをする人を出さないために、皆さんのご協力をよろしくお願いします。
■親子で通学路を歩いてみました
新1年生の幸山智惺さん。真新しいランドセルを背負い、春休みにお母さんと一緒に通学路の下見に出かけました。その様子を紹介します。
(※詳細は本紙をご覧ください。)
◇子どもに目をやって優しい気持ちで運転を
幸山 咲絵(さきえ)さん・智惺(ちさと)さん[内子1]
娘は小学校近くのピアノ教室に通っているので、送迎の車で「入学したら毎日ここを通るんだよ」と伝えていました。入学前の学校説明会では、親子で通学路を歩き、気を付けるところなどを確認するよう連絡がありました。娘は家から学校まで歩くのは初めてでしたが、交差点では「右見て左見て、手を上げて」としっかりできて、わが子ながら感心しました。保育園で警察の人に教わったことがあるようです。そういえば免許更新の時に「渡る意思を運転手に示すために、大人も手を上げましょう」と言われたなあ――。私一人だったら気恥ずかしいけれど、娘を見ていると「大人がしっかりしないと」と再認識させられます。
通学路で特に心配なのは国道を渡らなければならないこと。登校の時間帯は交通量が多く、スピードを出す車も見かけます。また商店街に入ると歩道がなく、道も狭いので車がすぐ近くを通ることがあります。「曲がり角は急に車が来るかもしれないよ。気を付けてね」と伝えていますが、登下校中は友達とのおしゃべりに夢中で周りが見えなくなることもあるかもしれません。ドライバーの皆さんには子どもの目線を少し意識してもらい、ゆっくりと優しい気持ちで運転してもらえたらうれしいです。私も娘の手本になれるよう、これまで以上に気を付けたいと思います。
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