部活動に励む皆さんにとって勝負の夏を迎えました。今年度も多くの子どもたちが全国の舞台で躍動。そのひたむきに頑張る姿はいつの時代も、私たちに勇気と感動を与えてくれます。
今回の巻頭ページでは「まちのニュース特別編」として、全国大会に出場した皆さんの声を紹介します。憧れ、緊張、不安――。さまざまな思いを胸に挑んだ大舞台での経験と、ここまで歩んできた努力の道のりに迫ります。
■JFA第11回全日本U-18フットサル選手権大会/ベスト8
◇全国で渡り合えた自信を胸に、さらに上へ――
福島新太(あらた)さん(岡山県作陽学園高3年)[内子6]
岡山県の高校でサッカー部に所属しています。部員は約170人。毎年夏にはインターハイのメンバーを外れた選手から、フットサルチームを結成しています。フットサルはコートが狭く、ボールが来る2歩手前にはイメージしておかないと間に合いません。このスピード感がサッカーと違った面白さです。今年は元日本代表選手が監督になり、チーム力が磨かれました。全国の決勝トーナメントの相手は、選手層が厚く強敵。それでも持ち味の守備を生かしたプレーが全国で通用したことは自信になりました。きっとサッカーにもこの経験が生きると思います。
普段は部員たちと寮生活。内子に帰ると親や友人の存在など、改めてありがたみを感じます。周りに支えられて頑張れていることに感謝を忘れず、さらに上を目指したいです。
■全国高等学校総合体育大会/女子カヌースプリント・カヤックフォア(500メートル)準決勝進出
◇気持ちを一つに、また必ず全国の舞台に
奥本真里亜(まりあ)さん(大洲高1年)[宿茂]
中学生の時にカヌー部の練習を体験しました。先輩たちの格好いい姿を見て「絶対に入部する」と心に決めました。
大会では4人乗りの艇の3番目。先頭の先輩の声を最後尾に伝え、全体の橋渡しをするポジションです。他県の選手は、4人乗りなのに1人で漕(こ)いでいるように息がぴったり。緊張さえも力に変えているようでした。大会後、私は1年生だけになったチームのキャプテンに。気にしすぎる性格が裏目に出ないよう、頑張り屋で気が合うハル(加藤さん)と助け合ってチームをまとめたいです。上級生がいないハンデはあるけれど、息の合う同学年で一緒に乗れる強みもあります。「また絶対に全国の舞台に立つ」と揺るがない気持ちで、努力を重ねたいです。
◇「次がある」じゃない、強い気持ちで「今から努力」
加藤はるさん(大洲高1年)[長田]
小さい時から川が好きで、夏は毎日のように近くの川で遊んでいました。初めての全国大会はすごい選手ばかり。「1位を取ります」と試合前に宣言する人、同じ1年生で全国2位に入る人もいて、全国で勝ち進む選手の気持ちの強さを感じた大会でした。新チームになって、また挑戦が始まります。大洲高校カヌー部のインターハイ連続入賞の歴史を途絶えさせないよう、「まだ来年がある」という甘えを捨て、今から頑張りたいです。
まじめで話しやすいマリ(奥本さん)は気配りができる人。練習時間を増やすため手際よく準備する工夫をしたり、練習で自分では気付けないことを伝えてくれたり、頼れる存在です。ライバルとしても互いに競い合い、高め合えたらと思います。
■全国中学生フェンシング選手権大会/男子サーブル
◇ハイレベルな環境で技を磨き、憧れの先輩に追いつきたい
井上幹雄(みきお)さん(五十崎中3年)[黒内坊]
全国大会は2回目の出場です。前回は緊張でなかなか自分から攻撃できませんでした。今年は最後の全中で「上位に行かないと」というプレッシャーも――。目標のベスト8は果たせず悔しさは残りますが、昨年の反省を生かして、思い切った攻めはできたと思います。
所属する愛媛フェンシングクラブでは高校生も一緒に練習します。全国で準優勝した織田優晴(ゆうせい)さんもその一人。駆け引きや攻め方をしっかり考えて競技に臨んでいて、僕にもその大切さを教えてくれました。コーチの指導も含めて、トップレベルの恵まれた練習環境です。練習を重ねて、自分の強みであるアタックの速さを磨き、技のバリエーションも増やしたいです。今後は憧れの先輩と同じ高校に進み、インターハイでベスト4に入るのが目標。少しでも追いつけるよう頑張ります。
■全国高等学校総合体育大会/少林寺拳法
◇自分を見つめ直すことの大切さを教えてくれた大会
中川豊大(とよはる)さん(松山工業高3年)[宿茂]
全国大会では6人で行う「団体演武」と、2人組の「組み演武」に出場しました。実は大会の約1カ月前、練習中の接触で肋骨を骨折。痛みが残るまま本番を迎えました。決勝進出は逃しましたが、「今できることをやるしかない」という気持ちで力を出し切りました。
今年はキャプテンとしてチームを引っ張る立場。演武を形にするため、動き方を言葉で伝えるのですが、想像以上に難しいです。体のつくりや使い方、感じ方がみんな違うからです。例えば技にスピードやキレを出すための、わずかな重心移動など、その見えない部分が差となります。それに気付くためには、弱みにも目を背けず、日々自分の動きと向き合うことが大切です。大会を通して少林寺拳法の難しさと奥深さを、改めて感じることができました。
■全国高等学校総合体育大会/男子ホッケー
◇全国で感じた高い壁――目指すは「走り勝つホッケー」
深井琉聖(りゅうせい)さん(伊予高2年)[富中]
中学まではサッカー、高校でホッケーを始めました。部員は同じく高校まで未経験の選手が多く、4月に新チームになったときは女子チームにも負けていました。みんな「やばい」と思い、必死に練習しました。先生が求めたのは技術の前に、まず「走り込み」。ディフェンダーの僕は足を動かして失点を防ぐのが役割です。体力が付いてくると相手のカウンターにもしっかり戻って対応する、姿勢を低くしてボールを奪うといったきついプレーも、最後までやり抜けるようになってきました。全国大会では富山県の強豪校に完敗し、実力差を感じましたが、先生は「今まで見た中で一番伸びているチーム」と背中を押してくれます。練習を重ねて技術も身に付けながら、部が掲げる「最後まで走り続けて勝つホッケー」を目指して、走り続けます。
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