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地震に備える。命を守る。(1)

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愛媛県大洲市

令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、さまざまな面で地震への備えをもう一度考えさせられるものでした。今後30年以内の発生確率が、70%から80%とも言われる南海トラフ地震に備えて私たちは何をすべきなのでしょうか。

■食を備える。
これまで災害時の食料備蓄については「とりあえず3日分があれば」と言われてきました。しかし、今回の能登半島地震では土砂崩れにより道が閉ざされ、山間部などの集落が長期間にわたって孤立する状態となりました。
大洲市でも同様の事態に陥ることが懸念され、3日分は最低限と考え、できれば7日分の非常食を用意しましょう。
また、お湯を沸かすことなどに使えるカセットコンロもあると便利です。

◇「ローリングストック」という備蓄方法も
長期間保存できる非常食を備蓄しておくことも、もちろん大切なことではありますが、日常の中に食料備蓄を取り入れようという考え方もあります。
普段の食品を少し多めに買い置きしておき、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法を「ローリングストック」と言います。
ローリングストックのポイントは、日常生活で消費しながら備蓄することです。
家にある食料を一定量に保ちながら、購入→備蓄→消費のサイクルを繰り返すことで、備蓄品の鮮度を保ちながら、いざという時にも日常生活に近い食生活を送ることが可能となります。

■水を備える。
能登半島地震での被害の特徴として、もう一つ挙げられるのが長期間の断水です。水道管の破損が広範囲に及び、復旧にかなりの時間を要しています。
また、道路インフラが使えない状態となれば給水車の到着が遅れる可能性があります。飲料としての水だけでなく、手洗いなどの生活用水が不足すると衛生面の問題が発生します。

◇どれくらいの水を備えておけばいいの?
災害時に備えるべき水の量はどれくらいなのでしょうか?
一般的な目安として、人が一日に必要な水の量は飲料用として1リットル、調理用などに使用する水を含めると3リットルとされています。
しかし、災害時は飲料水だけでなく、トイレや衛生対策などに使う生活用水も必要となるため、水を備蓄する際はより多く準備しておく必要があります。

◇生活用水を確保しよう
例えば浴槽は家の中で最も多くの水をためることのできるスペースです。お風呂を沸かす前に前日分の水を捨てるといったことを習慣にすれば、200リットルほどの生活用水を備蓄することができるでしょう。
浴槽に水をためておく場合は必ずフタを閉めましょう。地震が起きた際に浴槽の水があふれ出てしまったり、ホコリなどが侵入しやすく水質の悪化が早まるおそれがあります。

◇水を使わない衛生用品
とはいえ、これだけの量の生活用水を常に確保しておくのは大変です。そんなときに役に立つのが、水をほぼ使わずに体や髪をきれいにできる洗浄料です。
顔や体を拭くことができるウェットシートや水で洗い流す必要のないドライシャンプー、ペーパー状の歯磨きシートなどが販売されています。ドラッグストアや100円ショップで手に入れられるものもありますので、防災袋に入れておきましょう。

●他人事ではなく自分事として
2月19日(月)から5日間、JMAT(日本医師会災害医療チーム)の一員として被災地で活動し、とても貴重な経験をしました。避難所では発災直後は感染症対策までは手が回りにくく、時期的にもインフルエンザなどの感染者数に増加傾向がみられるとの報告をよく耳にしました。高齢者などは衛生面に気をつけた事前の準備が大事です。加えて、避難所での集団生活では普段からの地域のコミニュケーションが大切です。誰か顔見知りがいる、相談できる相手がいることは精神的な負担も全く違います。また、災害時は一時的に薬が不足することが予想されますが、お薬手帳があれば比較的スムーズに処方されます。持病がある人などはお薬手帳をすぐ持ち出せるようにしておきましょう。
今回の地震を他人事ではなく自分事として考えて、普段から防災意識を高めることが、みなさんの命を守ります。
市立大洲病院 向井直基(なおき)副看護師長

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