自治会と公民館組織が統合した新しい地域自治組織が始まって、はや2カ月が過ぎました。現在、各自治会は新しい体制となり、地域の課題を解決すべく、さまざまな活動に取り組んでいます。
今回は、柳沢自治会が長年取り組んでいる活動について紹介します。
大洲市の北部に位置する柳沢地域は、壺神山、秋葉山、感応寺(かんのうじ)山に囲まれた自然豊かな山間の集落です。地域を流れる清流矢落川は、多くの作物や生き物を育て、私たちが生活をする上で重要な恵みをもたらしてくれています。
大自然の中でゆったりと生活をしている柳沢の住民ですが、いざ運動会やほたるまつりなど、地域が共に取り組む行事での団結力は素晴らしく、コミュニケーションがスムーズに運ぶ一助となっています。
しかし、今後、当地域の高齢化率はますます高くなり、住民同士のつながりが希薄になることが予想されます。そのような中、地域おこし協力隊の2組の若者が当地域に移住予定で、心強い仲間を得られると感じています。「自分たちの地域は自分たちでなんとかしよう!楽しくやろう!」という気持ちを強く持って、これからも自分たちでできることを地域住民と共に模索し、地域に根付いた取り組みを進めていきます。
(柳沢自治会 増岡学(まなぶ)会長)
柳沢自治会は、年間を通してさまざまな行事を実施しており、地域住民のみならず市外や県外からも多くの人に訪れてもらっています。
◇行事の一例
6月…ほたるまつり・菖蒲まつり
11月…雲海まつり(藤縄神楽)
12月…ジャンボ門松設置
■雲海まつり~来る人をもてなし感じる幸せ、柳沢の文化を発信する場~
自治会の助成を受けて活動する「木林森(ひふみ)夢倶楽部」は、結成から約40年が経ち、現在は地元の有志8人で柳沢地域を盛り上げる活動をしています。主の行事「雲海まつり」のみならずジャンボ門松の制作やイルミネーションの設置など、その活動は多岐にわたります。
毎年11月の第3日曜日に開催し、今年で29回目を迎える雲海まつりには、例年200人近い人が県内外から訪れます。
この事業のそもそもの始まりは「自分たち地元住民が楽しく活動できる場所を作ろう」という遊び心から、平成6年に雲海展望台を作ったことです。その後、雲海をバックに藤縄神楽を奉納するようになりました。
まつりでは、訪れた人に山の幸を振る舞ったり餅をまいたりと、もてなしの心を持って接します。また、伝統文化の神楽を地域外の人に見てもらう絶好の機会でもあります。その準備や片付けは重労働ですが、みなさんの笑顔を見ると幸せな気持ちになり、やりがいを感じています。
メンバーも高齢となり、これからは現在の事業を維持することを目標にしています。ただ、メンバーで集まって話し始めると「今度はこんなことしてみようや」と次から次にアイデアが浮かんでくるのも事実です。事業を継続していく原動力は、来る人からもらえる幸せな気持ちと、自分たちが楽しく活動するという気持ちです。
これからも地域を盛り上げるため、自治会と一緒に活動をしていきたいです。
(木林森夢倶楽部 城戸哲雄(てつお)代表)
■柳沢ほたるまつり~地域の宝物ゲンジボタルを通して地域おこし~
「大洲市でホタルといえば柳沢」「柳沢といえばホタル」と言っても過言ではないほど、地域に根付いた事業「柳沢ほたるまつり」。地区内を流れる矢落川の上流、田処から喜多山に至る約12kmの区間は、ゲンジボタルの発生地として愛媛県の天然記念物に指定されています。例年5月下旬ごろから多くのホタルが飛び交い、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
この事業は、地域住民がホタルを鑑賞しながら一緒に食事をしたことに端を発します。その後、青年団が事業として確立し、現在では自治会の地域振興部会を中心として地域の各種団体が共同で運営を行っています。
地域の伝統文化や食文化、自然に触れることができる「ほたるまつり」は、地域が一丸となって取り組むことで住民同士の活躍の場、交流の場にもなり、自然と連帯感も生まれています。地域外からの来訪者も多く、高齢化が進む地域にとっては、地域外住民との交流の場となっています。
また、柳沢地域では地域の宝物でもあるゲンジボタルを通して、ほたるまつり以外にも住民主体の地域おこしを行っています。
「柳沢げんじぼたる保存会」
ゲンジボタルを保護し、生息環境や自然環境を守り続ける活動
「ホタルボランティアガイド」
ゲンジボタルの生態や地域の説明を来訪者へガイドする活動
ホタルボランティアガイドの活動を子供たちにも知ってもらうため、地元の小学校でふるさと学習の一環として授業を行い、子供たちの地域愛を育んでいます。
事業を実施するに当たって、根底にあるのは「まずは自分たちが楽しむ」ということ。自分たちの住む地域をなんとか盛り上げようとは思いますが、無理はせず、試行錯誤しながら自分たちの手でやれることをやっていくということを念頭に、住民主体の活動を今後も継続していきたいと考えています。
■柳沢コミュニティセンター・田処分館の職員より
4月から柳沢公民館がコミュニティセンターとなり、気持ちも新たに住民のみなさんと共に柳沢地域のことを考え、助け合いながら地域の課題を解決していきたいと思います。
ほたるまつりや雲海まつりなど季節ごとの行事を大切に続けていき、多くの人たちと交流を深められる拠点となるようがんばっていきます。
今年の「柳沢ほたるまつり」は、6月8日(土)に実施します。ぜひ、お越しください。
問い合わせ先:地域振興課地域自治推進係
【電話】0893-57-9989
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