■不妊去勢手術で望まれない繁殖を防ぐ
猫の数の増えすぎによって起こる問題は、ふん尿による悪臭などのような人間にとっての被害だけではありません。猫にとっても過密な環境は大変なストレスになるだけでなく、衛生環境の悪化から病気にかかりやすくなります。生まれてきた子猫も長くは生きられません。
「かわいそうだから」と野良猫に不妊去勢手術を受けさせず餌をあげる人がいますが、猫は栄養状態が良くなると繁殖し、1頭のメス猫から年間20頭以上に増える可能性があります。そうなったときに適切な世話ができるでしょうか。「かわいそう」と思ってやったことが、見えないところで更なる「かわいそう」を生むことになります。餌をやるのであれば責任を持って不妊去勢手術を受けさせることが必要です。
これは野良猫に限ったことではなく、家で飼っていても脱走してしまったときに妊娠する(させる)こともあるため、予防する必要があります。
また、予防以外にもメリットとして、
〇発情しなくなり、大声で鳴いたり、スプレー(マーキング)をしたり、異性を求めて外出しようとする行為が軽減される
〇発情期のストレスがなくなり、性格が穏やかになる
〇乳腺腫瘍や生殖器系の病気の発生率が低くなる
といった効果も期待できます。
◇探してみようさくら猫
不妊去勢手術済みの猫の印として、オスは右耳、メスは左耳(地域によっては逆の場合も)にV字カットを入れてあります。
(さくらの花びらみたいなお耳でしょ!)
■猫の不妊去勢手術補助金制度
大洲市では、猫の不必要な繁殖や周囲に対する迷惑の未然防止を図るため、手術費用の一部を補助しています。
(補助金を活用するニャ)
◇補助対象
大洲市内に住所を有する個人が、飼い猫または飼い主のいない猫に愛媛県内の動物病院で手術を受けさせたものに限ります。
※大洲市に住民登録がない人や市税などを滞納している人は対象となりません。
◇対象期間
4月1日(月)~令和7年3月31日(月)
※今年度の予算に達した時点で終了します。(先着順)
◇補助金額
下記の補助額または手術料金のいずれか低い額
(1)飼い主のいない猫…オス4,000円・メス8,000円
(2)飼い猫…オス2,000円・メス4,000円※飼い猫は、年度内で1世帯1頭に限ります。
問い合わせ先:環境生活課生活衛生係
【電話】0893-57-9966
■多頭飼育崩壊から猫を守る
(とってもつらいことニャ…)
みなさんは「多頭飼育崩壊」という言葉を聞いたことがありますか?多頭飼育崩壊とは、ペットに不妊去勢手術を受けさせなかったために適切に飼育できない数まで繁殖してしまい、飼い主もペットも不衛生で危険な環境で暮らさざるを得ない状況をいいます。
安易に数を増やしてしまった結果、飼い主の経済力や世話が追い付かず、ペットは十分な餌や水も与えてもらえなくなります。ふん尿の掃除も行き届かない劣悪な環境に閉じ込められ、多くは猫エイズや白血病などの感染症にかかり、苦しんで亡くなります。また、悪臭などで近隣にも迷惑がかかります。
市内でもこのような事例は発生しています。飼い主と数十頭の猫が、物が散乱し、ふん尿が堆積した家の中で暮らし、その中で多くの猫たちが人知れず命を落としているという事例もありました。
では、どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょうか。
●多頭飼育崩壊の現場などから多くの猫たちを保護し里親につなげ、命を救う活動の傍ら、愛媛県動物愛護推進員として地域における犬・猫などの動物の愛護や適正な飼養に関する普及啓発を行っている緒方陽子さんにお話を伺いました。
◇多頭飼育崩壊が起こる原因は何でしょうか?
飼い主の状況が大きな原因になっていると思います。貧困や孤独感、家族関係など問題を抱えている場合が多いです。認知症や障害により適切な飼育ができないケースもありました。室内飼いや不妊去勢手術はかわいそうだというような、猫の飼育に関する間違った知識を持って飼っていることも原因です。正しい知識と責任を持って猫を飼うことが必要です。
◇周りに多頭飼育崩壊している家を見つけたらどうすればいいですか?
適切な飼育をしないのは動物虐待に当たりますが、飼い主本人は自覚がないことが多く、周りの人が飼育方法について直接指摘しても改善は難しいです。本人だけで解決することもできないので、おかしいと思ったらまずは市役所や保健所など行政機関に相談してほしいです。そうすることで、改善勧告や命令、福祉分野や動物愛護の活動をしている団体などとの協力による改善の可能性があります。
◇何のために保護や啓発の活動をしていますか?
猫は自分で言葉を話すことができません。つらい思いをしている猫たちを助けるために活動しています。
私は大洲が好きで、猫も犬も好きです。猫は本来自由な生き物です。そんな猫たちが近隣トラブルもなくのんびりと暮らせる、人も猫も幸せに共存できる優しいまちになってほしいです。
猫たちの代わりに、声を上げてほしい
<この記事についてアンケートにご協力ください。>