■殺処分から譲渡へ
令和4年度に行政機関に引き取られ、殺処分された猫の数は全国で9,472頭。まだ多くの猫たちが苦しんで亡くなっていますが、譲渡数が増え、引き取り数と殺処分数は激減しています。
これには、令和2年6月から動物愛護管理法改正により原則として野良猫の捕獲や引き取りを行わなくなったことに加え、動物愛護活動団体や個人ボランティアなどによる活動が大きく影響していると考えられます。
(出典)「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(環境省)を加工して作成【HP】https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
■譲渡会で保護猫の新しい幸せを探す
捨てられた猫や市民が保護した野良猫たちにワクチン接種や血液検査などを施し、新たな飼い主とつなげるボランティア活動をしている団体があります。
「おおずねこの会」は、1頭でも多くの命を救うことを念頭に置き「つなげよう大洲猫を大洲市民に」をスローガンとして、令和3年の秋から保護猫の譲渡会を始めました。大洲市が後援している年2回(総合福祉センター、畑の前河川敷)のほか、冨士山オートキャンプ場と商業施設でもそれぞれ年3回開催していて、昨年だけで20頭以上の猫たちが新しい家族に迎えられています。
住んでいる地域で野良猫が増え、地域のみなさんの理解を得て地域猫活動をしていましたが、1頭でも多くの猫を救いたくて、大洲市全域で活動する「おおずねこの会」を始めました。
保護した野良猫に不妊去勢手術を施し、飼い猫になれそうな子は譲渡会で家族を探し、外の生活が長い子は地域猫として暮らせるよう元の場所に戻しています。ただ、私たちが活動する間にも手の届かないところで次々と子猫が生まれたり捨てられたりして、不幸な猫がなかなか減らないのが現状です。そこで、野良猫問題やTNR、地域猫(7ページ参照)についてみなさんに知ってもらうために、パネル展などの啓発活動にも力を入れています。今後も地道に活動を続けながら地域全体に動物愛護の意識を根付かせることで、間接的にもたくさんの猫を救っていけたらと思っています。
(おおずねこの会 代表 和田仁美(ひとみ)さん)
■地域で人と共生する~TNRと地域猫~
おなかをすかせた野良猫に餌をあげたくなるのは人として自然な感情ですが、ただ餌を与えるだけでは猫が繁殖し、世話をしきれなくなってしまうのも自然なことです。手に負えないからといって猫たちをどこかに連れていくこと(遺棄)は、人間社会においては犯罪、猫にとっては生きる場所を奪われることであり、身勝手極まりない行為です。
増えたときに世話をしきれないのなら餌をやらない、餌をやるのなら不妊去勢手術を受けさせることは、人としての責任です。
「TNR」とは、Trap=仕掛けをして野良猫を捕まえる、Neuter=不妊去勢手術をする、Return/Release=元の場所に戻すという野良猫の繁殖を制限する活動のこと。このTNR活動によって「さくら猫(4ページ参照)」となり、生を全うするまで住み慣れた場所で地域の人たちに見守られながら暮らす猫を「地域猫」といいます。
家での暮らしが安全で安心とはいえ、外で暮らしてきた猫たちにとっては、飼い猫になるより住み慣れた環境で生きることが幸せな場合もあります。そんなとき人に迷惑をかけず、嫌われずに暮らすことができれば、もっと幸せな一生を送ることができるでしょう。
猫が好きな人も、猫が苦手だ・迷惑だと感じている人も。地域のみなさんで協力して、野良猫を増やさず共生できる道を探してみてはいかがでしょうか。
人も猫も幸せに暮らせる社会を目指して
猫に関する相談窓口
環境生活課生活衛生係【電話】0893-57-9966
(困ったら相談するニャ!)
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