■一般質問
◆末廣啓議員(つづき)
◇自然災害への備えについて
《問》西日本豪雨以来、鬼北町として災害に備える対策としてどのような対応を執っているか。
《答》平成30年7月豪雨では町内各地で多くの災害が発生し、甚大な被害がもたらされた。この災害の経験をもとに、その対応状況や課題を精査し、災害への対応について検討を行ってきた。
令和2年度に、新たに危機管理棟を新築し、令和3年4月1日から総務課危機管理室を危機管理課に格上げするとともに、災害時の迅速な対応に向けた体制強化を図るため、3年に1度実施していた町の防災訓練を、令和3年度から公民館単位による持ち回りで、南海トラフ地震を想定した防災訓練を毎年実施するように見直しを行い、実施している。なお、令和5年度は、愛治地区・好藤地区で、それぞれ避難所運営に特化した防災訓練を実施するとともに、鬼北町自主防災組織等連絡協議会及び鬼北町防災士連絡協議会並びに鬼北町学校関係者を対象としたHハグUG訓練(避難所運営ゲーム)を実施する。
防災対策は、住民が自らの安全は自らで守る「自助」を実践した上で、地域において互いに助け合う「共助」に努めるとともに、町及び県がこれらを補完する「公助」を行うことを基本とし、今後も、住民、自主防災組織等連絡協議会、防災士連絡協議会、事業者等と相互に連携を図りながら、鬼北町防災訓練の実施や防災・減災対策に取り組んでいきたい。
《問》町内の避難場所は何か所設置してあり、備蓄品等の対応はどうなっているか。
《答》災害の危険が切迫した緊急時において安全が確保される指定緊急避難場所を26か所(その内13か所は指定避難所を兼ねる)、避難者が避難生活を送るための指定避難所を26か所指定している。
備蓄品の食料については、令和5年度当初において、米やスナック菓子等、約5千500食の非常食を備えている。飲料水は、2リットルのペットボトルが792本、500ミリリットルのペットボトルが1千368本合計で2千268リットルの飲料水を備えており、一日一人当たり3リットルの水を想定した場合、約750人分の備蓄がある。また、物品については、毛布が約630枚、段ボールベットが200台、その他、衛生用品やブルーシートなどを備蓄している。
町としては、十分な備蓄内容とは言えない状況のため、今後も計画的に、必要な備蓄食料、備蓄資材を整備していきたいが、その一方で、町民の方々にも、平時のうちから、食料や生活必需品等の確保に取り組んでいただきたい。今後も、家庭備蓄の必要性を認識できるように、広報・啓発活動を実施していきたい。
《問》各避難所では、何日間対応できる食料や物品の備蓄があるか。
《答》避難所を開設する際に、各地区公民館と鬼北総合公園体育館の7か所を開設することとしており、それぞれの施設に食料約220食と水60リットル、10人であれば食料7日分、水2日分相当を備蓄するとともに、毛布・段ボールベッド・間仕切り等も、10人分程度備蓄している。なお、それぞれの避難所において、食料・水・備蓄品が不足する場合は、防災センターから運搬し対応する。
《問》停電が発生した場合、避難所での対応が困難になると思うが、どのような対策をしているのかを問う。
《答》停電が発生した際には、応急的・限定的な対応として、町内の指定避難所に配備している小型発電機により、必要最低限の電源を確保することにしているが、現状では、避難所の運営が行えるほどの電力を町独自で賄うことは不可能と考える。現時点では、停電が発生した際に、停電の地域が限定される場合は、停電の無い町内の別の地域の避難所への避難者の移送を想定するとともに、町内全域で停電が発生し、長期間にわたって復旧できないと判断される場合には、応援協定を締結している市町へ協力を要請し、避難することを想定している。
今後鬼北町においては、2050年脱炭素社会の実現を目指す中で、町の温室効果ガスの排出抑制や災害時におけるエネルギーの安定供給として、再生エネルギーの普及に取り組むこととしているが、令和5年度から、指定避難所を中心として、公共施設への自家消費型の太陽光発電設備および蓄電池設備の設置を進めることとしている。
◆赤松俊二議員
◇今後の災害対応・災害対策について
《問》通行止めによりこの地域で生活している住民に大きく負担をかけているが、火災、急病等の非常時の対応はすぐにできるようになったか。
《答》7月1日の大雨により、町道中野川1号線が土砂崩れのため通行止めとなり、3戸、計9名の方が孤立状態となった。発災直後より、関係各課や関係機関と早期復旧及び生活環境の改善に向けた協議を行ってきたが、中でも、火災や救急等の緊急時の対応については、鬼北消防署や消防団、診療所医師とも十分な協議を重ねている。
発災直後は、車両通行が不能であった迂回路の林道中野川線も、7月7日からは通行可能となり、孤立状態は解消されたが、その林道中野川線は、全線が未舗装であり距離も長いため、通行に片道30分程度の時間を要することから、極めて不便な状況であった。その改善に向けて、土砂崩落個所のすぐ近くを迂回する仮設道路の整備に着手し、8月22日に、仮設道の通行が可能となった。現時点では、まだ完全復旧には至っていないが、災害発生前に近い状況まで生活環境が改善している。
《問》中野川1号線の改修計画、復旧の見通しについて。
《答》今後の復旧は、愛媛県が事業実施主体となる災害関連緊急治山事業により復旧を予定しており、現在、林野庁に計画書を提出し、審査を受けている状況である。
復旧の見通は、事業に係る予算について、愛媛県の9月補正予算に計上されており、県の予算が可決されれば、10月以降に詳細測量に着手され、工事入札手続きを経て、年内に工事が発注され、工事完了は令和6年10月末頃の予定である。
《問》孤立が予想される地域の大雨や土砂災害等の災害に備える対策について、地域の事前把握や迂回路等の計画について。
《答》令和4年10月に改訂を行った鬼北町地域防災計画では、孤立地区対策として、臨時ヘリポート等を整備するほか、大規模災害時の情報伝達や物資輸送の手段を確保するなど、迅速な応急対策を可能にする体制を整備する。しかし、鬼北町は山間部に集落が点在しているところが多く、土砂崩れや道路の崩壊等により、町内いたるところで孤立する地域が発生する可能性がないとは言えず、現時点では、孤立する地域を特定・把握することは困難なため、災害時の対応策として、孤立集落との情報伝達手段確保のため、衛星電話の確保、携帯電話に代わる通信網の導入に向けた協議・検討を進めている。
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