鬼北町からは1月22日~6月30日の期間に、男性12名、女性2名 計14名の職員を石川県輪島市、七尾市に派遣しました。派遣職員が被災地で見た光景や支援活動で感じた事を写真とインタビューで皆さんに伝えます。
■派遣職員
・髙田賢三 桂健二郎 宮森孝至(派遣期間:1月22日~1月31日※1)
・濱田竜馬 宮崎将大 川口大地(派遣期間:3月4日~3月13日※1)
私たちは災害発生から1カ月から3カ月経過した時期に、被災地支援に向かいました。元旦からの報道によりある程度の被害を想定しながら車を走らせましたが、被災地に近づくにつれて、想像をはるかに超えた光景が広がっていました。
市内道路の大半は陥没や隆起によってうねった状態、道路を寸断するように倒壊した家屋、地面から飛び出たマンホール、火災により焼け野原になった街など、災害の爪痕が深く残っていました。家族の団らんを一瞬にして奪われ、不便な生活を余儀なくされた方々の気持ちを考えると胸が痛く、言葉を失いました。
支援先である避難所(輪島市内公民館)では約40名の方が避難しており、各部屋に気持ちばかりの目隠しと段ボールベッドを並べ、倒壊した家屋から持ち寄った家電を使用しながら、公民館長を中心に生活を送られていました。
被災地支援をとおして、日常を非日常に一変させるのが災害だと痛感しました。一方で「共助」として支え合えるのが人の強みだと学ぶこともできました。十分な環境で生活できていることに感謝しながら、今回の経験で得たことを多くの方に発信し、これからの鬼北町の防災に活かしていきたいと思います。
■派遣職員
・森下秀二 久保田周 中村亮太(派遣期間:4月15日~4月24日※1)
・芝瞳(派遣期間:4月22日~29日※2)
・松浦雅人 坂本一磨 竹場若菜(派遣期間:5月27日~6月1日※1)
・兵頭海斗(派遣期間:6月24日~30日※3)
私たちは災害発生から4カ月から6カ月経過した時期に、被災地支援に向かいました。大きな余震が続く状況の中で避難所では、支援スタッフや避難している方々が明るく迎え入れてくれました。支援内容は、食事の配膳やトイレ掃除、物資の運搬や夜間警備などで活動時間は夕方5時から翌朝8時です。
活動中に避難所で生活する皆さんと話す機会が多くありました。「家がつぶれてしまった」「災害で家族を失った」「たまたま外にいたから生き残った」「2分の揺れで50年積み上げてきたものが全部なくなった」といった話を聞き、励ます言葉を見つけることができませんでした。避難所生活では、互いに助け合っていこうといった印象を受けましたが、心の中の痛みや不安ははかり知ることができません。話を聞けば聞くほど胸が締め付けられるような感覚になり、できるだけ皆さんの心のよりどころになればと思いながら活動を行いました。
苦しい状況の中でも明るく接していただき、気遣っていただき、お互いに助け合いながら生活をする皆さんを見て、人の優しさに触れて温かい気持ちになりました。心優しい方ばかりで、最終日にはこのまま現地で支援を続けたいと思うほど輪島市の方々のことが好きになりました。いつか再開できる日を願い、心を寄せ続けていきたいと思います。
※1 派遣先:石川県輪島市 業務内容:避難所運営業務
※2 派遣先:石川県七尾市 業務内容:被災者への健康支援や避難所等の衛生管理業務
※3 派遣先:石川県輪島市 業務内容:緊急解体支援の窓口業務
■講演会のお知らせ
能登半島支援から学ぶ大規模災害への備え
日時:8月7日(水)15時~16時50分
場所:鬼北町近永公民館 2階
内容:
・市立宇和島病院救命救急センター長兼診療部呼吸器外科科長 根津賢司医師の講演(鬼北町出身)
・能登半島支援派遣職員より、支援活動報告
■~今すぐできる防災・減災対策~もし地震があったら、落ち着いて行動できますか?
●災害に備えて準備をしよう
大規模な災害で広域に被害があると、輸送活動に大きな支障が生じるため、食料品など日々の生活に必要な物資が入手できない状況が想定されます。
また、病院自体が被災したり、負傷者が多く発生したりすることから、ケガをしてもすぐに治療を受けられないことも想定されます。このため、救援活動が受けられるまでの間、生活できるよう、各家庭の家族構成を踏まえながら、通常の家庭で保存しているものを活用して、飲料水や食料等については最低7日分、うち3日分は非常用持出しとして、日頃から備蓄しておきましょう。
○家庭での備蓄例(7日分:大人2名)
・水42ℓ(1人3ℓ/日)
・カセットコンロ・カセットボンベ12本(1人6本/週間)
・米(1人75g/食)
・乾麺(1人100g/食)
※「ポケット版みきゃんの防災グッズチェックリスト」をご覧ください。
救急医薬品や薬、新型コロナウイルス感染防止のためのマスクや体温計なども準備しておきましょう。
必要なものは人それぞれ違います。避難する際に持ち出しできる量となるよう、非常用持出品チェックシートを確認しながら準備を進めましょう。
鬼北町では令和2年度から毎年1~2地区で防災訓練を実施しています。住民の安否確認訓練や避難所設置・運営訓練を行い、『自助・共助の大切さ』を合わせてお伝えしています。
今一度、自身の身の周りや近隣住民との連携を確認しましょう。
・近隣住民への声掛け
→日頃から顔を合わせていると体調等の変化にも気づきやすい。
・避難経路の確保
→家具家電が転倒しないように固定する。
・防災避難袋の内容確認
→支援物資の到着に時間を要する場合もあります。
・服用しているお薬の確認
→お薬を持ちだせない可能性もあります。メモやスマートフォンに記録するなどの対策が必要です。
●~鬼北町危機管理監盛澤さんのコメント~
1年前、和倉温泉を拠点に能登半島を散策した思い出の場所が、この様な悲惨な状況になったことに深い悲しみと、関係者の皆様の再起を祈り、一日も早い復旧復興を願うばかりです。
恩師に「人生は死ぬまで勉強だよ」と教えられ、世の中で起きた事件・事故は、全て教科書であり私たちは、その教科書から学び対処法を会得する役目があると思います。国内の生活圏の多くは山間地が侵食され扇状台地となった地域が多く、鬼北町も多くの地域が当てはまると思います。能登半島地震と相重なる地域が数多く存在し、大きな地震の際は同様の被災が想定されます。
他人の不幸を自分の不幸と捉え何が重要かを考え実践していくことが肝要と思います。災害がいつ起きても大丈夫なように、常に自分の身の回りの準備は怠らないよう心掛けましょう。
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