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学校現場の昔と今に迫る(1)

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愛知県大府市

ーOUR CHANGING SCHOOLSー
学校をのぞいてみると、昔は当たり前だった光景が、今では様変わりしています。
その背景には何があるのか。
そして今は、どのような光景が見えるのか。
学校現場の昔と今に迫り、子どもたちのこれからの未来について考えます。

■先生たちに聞いてみた 20年前と今の違い
ーspecial talkー
約20年前はピカピカの若手教員、現在は市内の小・中学校で、ベテラン教員として働く5人をお招きし、学校現場で実感する昔と今の違いについて話していただきました。

・伊賀友信 先生
20年前 市外の小学校に勤務
現在 教育委員会に勤務

・大須賀奈津子 先生
20年前 神田小学校に勤務
現在 大東小学校に勤務

・水野亮 先生
20年前 大府南中学校に勤務
現在 大府小学校に勤務

・万浪真広 先生
20年前 市外の小学校に勤務
現在 共和西小学校に勤務

・山岡めぐみ 養護教諭
20年前 市外の小学校に勤務
現在 大府中学校に勤務

◆学校現場を振り返る
大須賀:20年前となると、「ゆとり教育※1」の真っただ中ですね。
万浪:学校週5日制が完全に始まったことも思い出します。
水野:2002年4月から「総合的な学習の時間」が全面実施され、中学校現場では試行錯誤していました。
伊賀:特色ある教育になるよう、先生みんなで検討していたことを思い出しますね。
万浪:自分で調べて、自分で課題を解決していくという方向に、学習指導要領が向かっていた最中でした。先生たちも一斉授業だけでなく、個別の学びを取り入れていました。
水野:さらに、子どもたちへの評価が、「相対評価」から「絶対評価※2」に変化しました。努力する子どもをしっかりと評価できるようになったので、学校教育が非常に良い方向に進んでいるなと思いました。

◆授業風景を振り返る
水野:最近、熱中症対策で体育館にエアコンが導入されましたけど、教室に扇風機が導入された時は画期的でした。
大須賀:今は、体育館での体育は安心できるけど、運動場での体育はまだまだ配慮が必要ですね。子どもたちには必ず水筒を持たせて、小まめな水分補給を心掛けています。
山岡:養護教諭の立場から見ると、以前と比べて熱中症への理解は深まってきました。その他にも、心のケアや食物アレルギー、色分けによる男女の区別など、配慮は進んでいますね。
水野:タブレットが導入された時も画期的でしたね。先に電子黒板も教室に配置されていたため、授業の幅が広がりました。
万浪:昔は、コンピューター室でも2人で1台のパソコンを使っていましたね。
大須賀:今は1人1台タブレットがあるから、授業の板書も宿題も子どもたちに送ることができます。体調不良などで欠席になった子も同じように自宅で学習ができるので、便利になりました。
水野:今では、英語の授業で、自分の声をタブレットで録音して提出させることも簡単にできます。昔のカセットテープを配って声の吹き込みをしていた頃と比べると、劇的な変化ですね。
伊賀:ICT関係ですと、欠席連絡などができる「学校情報連絡アプリ」の導入で、教員も保護者も負担が減りましたよね。
水野:昔は24時間、学校の電話がつながっていたので、夜遅くにも保護者に連絡をしたり、朝早くから欠席連絡を受けたりしていました。
大須賀:アプリが導入されて、各所から届くチラシなどもデータに変わり、紙を配る機会も減りましたね。アプリを通して、確実に保護者に情報を伝えられているので安心です。

◆部活動・学校行事などを振り返る
伊賀:新型コロナも相まって、学校行事も少しずつ変化していますね。
万浪:運動会は、半日で実施しているところが増えたのではないでしょうか。
伊賀:今は、中学校の部活動の地域移行や小学校の課外活動の終了など、変化がありますね。
万浪:大きな時代の変化ですね。「何でも教員がやらないといけない」という時代ではなく、「地域みんなで子どもたちを育てる」という仕組みになっていると思います。
水野:部活動が、青春そのものだった子も多かったのではないでしょうか。子どもたちの卒業文集を見ても、部活動のことを書く子どもが多い印象があります。
万浪:地域に全部お任せではなく、教員と地域が一体となって、子どもたちに競技に合わせた専門的な指導をするシステムが望ましいですね。

◆子どもたちとの関わり方を振り返る
万浪:褒める割合は、圧倒的に増えました。良いところを伸ばすような指導です。それに合わせて本人が自分で考えて、直さないといけないことは自分で気付かせるような指導法にしています。
水野:「卒業後にお互いが目を反らすような関係になるな」と昔、先輩に言われました。叱ったり、褒めたり、なだめたりしますが、卒業までに、時間をかけて信頼関係を築くことは大切です。
大須賀:自分を理解してくれる先生が好まれている印象があります。そこに信頼関係が生まれるのではないでしょうか。

◆未来の学校のカタチ
伊賀:最近は、長期欠席の子どもたちへの支援も積極的に取り組んでいますね。教育には絶対に目標があり、その目標の達成に向けた指導を続けるとともに、時代の変化の中で学校も変化を求められていると思います。今後の学校の在り方についてはいかがでしょうか。
万浪:今の子どもたちは、人と関わる時間や機会が減り、スマホやゲームに向き合っている時間が長いと思います。集団生活の中で、人と人が関われるような授業を今後も取り入れていきたいと思っています。
大須賀:ICTの発展で、子どもだけでなく、教員の業務も劇的に変わりました。いろいろな技術を活用して、子どもたちにより良い教育をしていきたいです。
水野:地域と一緒になって子どもたちを支え、学校を通して、子どもたちが将来に活躍できるような授業を考えていきたいです。
山岡:今は、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、学校内にさまざまな専門職がいます。引き続き、学校全体が一つのチームとなって、子どもたちを支えていきたいです。

※1 ゆとり教育
学習内容の削減や完全学校週5日制の採用など、ゆとりを持った教育が採用され、自分で学ぶ意思を育成することが目標とされた。
※2 絶対評価
2002年に導入。集団内での順位にかかわらず、個人の能力に応じて、評価する方法。

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