■学校現場にも民間活力を
全国的に教員の働き方改革が課題になる中、市も教員の働き方について検討を始めています。しかし、学校現場の中心にいるのは子どもたち。
教員の働き方改革の一方で、子どもたちにより良い学びを提供するための工夫も隠れています。ここでは、民間活力を導入した教育について触れます。
◆水泳授業の民間委託が始動
学校における夏の風物詩になっていた水泳授業。現在は、市内全小学校の水泳授業を民間委託し、子どもたちは専門的な指導のもとで泳力の向上を図っています。
冬にこの写真?!と思った方もいるでしょう。水泳といえば夏をイメージしますが、屋内プール施設を活用することで、天候・季節を気にせず、水泳の授業ができることもメリットの一つと言えます。
○レベルに応じたきめ細かい指導が可能
授業の評価をするのは先生なので、事前に先生と授業内容について話し合い、最終的なゴールに向かった指導ができるよう心掛けました。先生一人では、全然泳げない子から上手に泳げる子まで、幅広く見ることは大変だと思います。
経験豊富なスタッフによる専門的な指導により、子どもたちのレベルに応じたきめ細かい指導ができるので、子どもたちにとっても良いことだと思います。
水泳民間指導者 (株)linkworks 石井正行さん
◆部活動地域移行に向けたモデル事業が始動
現在、部活動の在り方が大きく変わろうとしています。市は、令和5年3月、今後の部活動の地域移行の方向性を示す「大府市中学校部活動地域移行ビジョン」を公表しました。部活動の地域移行とは、これまで教員が担ってきた部活動を、地域の活動として位置付けることです。
市では、8月から中学校で、部活動地域移行に向けたモデル事業を開始し、子どもたちは地域の指導者から専門的で高度な技術を学んでいます。
○選択の幅が広がるようコーディネート
子どもたちがしっかり活動できるよう、行政・企業・大学と連携して、より良い地域の活動とすることを目指しています。部活動が地域の活動に移行すると自由度が増し、今まで学校の部活動にはなかった競技にもチャレンジできるようになります。今後も、子どもたちに選択の幅を広げられるコーディネートをしていきたいです。
一般社団法人LISOBU 塩澤恵美さん
○スポーツに親しめる
今は週に1回程度、大府西中学校のバスケットボール部で指導しています。素直な子が多く、指導していてとても楽しいです。
地域の指導者に教わることで、子どもたちは生涯を通してスポーツに親しむことができると思います。
地域の指導者 竹内智江さん
◆課外活動の終了 市独自の活動を開始
これまで、小学校高学年を対象に陸上・サッカー・金管バンドなどを実施していた小学校の課外活動。大会やコンクールに向け、教員の指導のもと、子どもたちは授業後や休日に練習に励んでいました。しかし、令和3年度をもって課外活動を終了したため、今はそのような光景は見られません。
そこで市は、子どもたちが引き続き、身近な地域で運動や文化的な活動に参加できる機会を確保するため、独自の「おおぶカルチャーandスポーツ(カルスポ)」を令和5年度から開始しました。課外活動でも行われていた金管バンドと、体操やドッジボール、話題のスラックラインなどの多様な種目を組み合わせた総合運動を実施しています。心身共に大きく成長するこの時期に、専門的な指導のもと、経験したことのないスポーツや楽器の演奏にチャレンジできることは、大きなメリットと言えます。
○子どもたちが輝ける場所を新しいカタチで継承
今までは、子どもたちが放課後に集まって活動をしていたのが当たり前でしたけど、今はそうではありません。寂しさを感じていたので、こうしてカルスポが導入されたのは、素晴らしいと思います。カルスポを通して、学年を超えた新しい友達ができますし、貴重な経験ができます。金管クラブでは、最初なかなか楽器を吹けなかった子が、諦めずに一生懸命練習して吹けるようになります。その時の子どもの目は、とても輝いています。子どもたちが輝ける場所を守るお手伝いができたらと思っています。
カルスポ 金管バンド講師 内田正則さん、小久保知華さん
◆はつらつ運動プログラムの実践で体力向上
平成29年度から保育園や児童(老人福祉)センターで実施してきた「運動あそびプログラム」を発展させ、小学校の体育の授業で体力向上を目指す取り組みとして、令和2年度に一部の小学校で開始した「はつらつ運動プログラム」。現在は、全小学校の1年生を対象に体育の授業内で、専門家による運動指導を行っています。子どもたちは、このプログラムを通して、できなかったことがたくさんできるようになり、自信を得るとともに、新しいことにも積極的に挑戦する姿勢が養われています。
○子どもたちが思いっきり挑戦できる場所を提供
マット運動や跳び箱などのテーマに沿って、段階別に一個ずつ積み上げていくようなプログラムを意識しています。子どもだけの一人練習だと危険が潜んでいることもあるので、「これをするとケガをしにくい」という安全にできる方法を専門的立場から伝えています。安全に子どもたちが挑戦できる場所を作ることができるので、こういった活動がどんどん広がっていけばいいなと思います。
講師 小山晋介さん
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