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自治体の皆さまへ

動いて 食べて 交流して 始めよう! フレイル予防(2)

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愛知県大府市

~フレイル予防の取り組み~

【栄養】
◆誰ひとり取り残さない 栄養パトロール
市では、75歳以上で市の健診を受診していない方の一部を対象に、栄養パトロールを行っています。対象者には、健康状態を把握するためのアンケートを送り、後日、管理栄養士が直接回収します。アンケートを提出した方のうち、状態に課題(低栄養・フレイル)がある方については、管理栄養士が継続訪問し、必要な支援を行います。

○INTERVIEW
主治医などと連携し、専門的な食の支援を行います
市内には、日本栄養士会が認定した機能強化型認定栄養ケア・ステーションがあります。栄養ケア・ステーションとは、管理栄養士などが所属する食と栄養の専門的な相談窓口の拠点です。最近では、摂食嚥下(えんげ)障害のための調整食や透析食、がん治療のための食欲低下など、毎日の食事に悩む方々が増えています。そこで私たちは、主治医・ケアマネジャーなどと連携しながら、相談者の自宅で調理方法・食事量・食材のアドバイスをします。栄養パトロールで医療的ケアが必要と思われる方を把握した場合は、栄養ケア・ステーションに相談する仕組みになっています。栄養パトロールにより、早期に栄養介入ができるため、重症化する前に低栄養の回復につながる方も多く、安心して在宅で医療・介護が受けられるようお手伝いしています。

機能強化型認定栄養ケア・ステーション 地域ケアステーション
はらぺこスパイス 管理栄養士 奥村圭子さん

○INTERVIEW
多機関連携で、安心して暮らせる地域づくり
栄養パトロールを通して、「食事に気を配っている」「運動をしている」という声を聞く一方、「体調に不安があっても医療機関を受診したくない」、健康に課題があっても「症状がなく問題だと考えていない」という声も聞きます。皆さん共通して、「今の生活をできる限り長く続けたい」と考えていますが、健康維持に必要な取り組みは、人によって異なります。
私たちは、管理栄養士としてのアドバイス以外にも、その方の状態に合わせて、高齢者相談支援センター、医療機関、栄養ケア・ステーションなどと連携し、サポートしています。元気なときはもちろん、健康状態が悪化しても、安心して地域で暮らせる体制づくりを進めています。
健康増進課 管理栄養士 眞野由香子

【口腔】
◆お口から始めるフレイル予防 食べる機能健診
食べることは、生きるために必要な栄養を取るだけではありません。会食はコミュニケーション手段の一つであり、おいしいと感じることは心の満足感が得られるため、社会のつながりや心の健康にも関係してきます。
市では、75歳以上で市の健診を受診した方を対象に、口の中の細菌数や食べ物をかみ砕く力、飲み込み機能などを測定する食べる機能(口腔機能)健診を行っています。

○INTERVIEW
健康意識に変化
普段から健康に気を付けているつもりですが、自分の口の状態が気になって、受診しました。健診では、舌の動きが良いと歯科衛生士に言われ、機能が衰えていないことを確認できて良かったです。アドバイスをもらうことができたので、これからも健康を意識して生活していきます。
受診者 本多ヒデさん

【認知機能】
≪認知症不安ゼロ作戦≫
市では、「認知症になりにくいまちづくり」「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」というコンセプトのもと、国立長寿医療研究センターと連携して、さまざまな事業を行っています。

◆コグニノート
プラチナ長寿健診を受診した方に、自身の健康状態をセルフモニタリングするためにコグニノートを配布しています。コグニノートは、認知症や要介護状態になることを予防するのに重要な身体活動・知的活動・社会活動を毎日記録できます。記録したコグニノートを市役所・公民館などに設置された現地出力システムで読み取ると、活動記録がグラフ化された結果用紙が出力されます。継続的に行うことで、新規要介護発生のリスクが低減され、心と体の健康状態の維持につながります。

◆プラチナ長寿健診
従来の病気を発見するための健診ではなく、脳と体の健康度に着目し、病気に至らなくても、加齢によって生じる機能の低下を早期に発見するために行います。対象は、65・68・71・73歳または75歳以上で、市の健診を受診した方。タブレットを使った検査を行い、記憶力・注意力・実行力・処理能力の4項目から脳の健康度を、歩行・握力・問診などから体の健康度を評価します。継続的に受診することで、経年変化も分かり、自身の状態を知るきっかけになります。

◆運転技能検査
プラチナ長寿健診を受診した方のうち、車の運転をしている方には、VR(コンピューターによって創り出された仮想空間)による運転技能検査も行っています。交通事故全体に占める高齢者の割合が増加しているなど、事故対策が喫緊の課題である一方、運転ができなくなることで生活範囲が狭まり、活動量が低下して心身の機能低下につながる恐れがあることも指摘されています。運転をしている高齢者は、運転をしていない高齢者に比べて認知症になるリスクが約4割減少することが明らかになっています。長く安全運転が続けられ、多くの高齢者が生活範囲を広く保てるよう、ドライバーの運転技能の維持・向上を目指しています。

○自分の認知機能を把握 コグニチェックリスト

色付きの回答が2つ以上当てはまる場合は、認知機能低下のリスクがあります。

○INTERVIEW
自身の状態を把握しましょう
2022年度のプラチナ長寿健診では、受診した1104人のうち、69人が身体的フレイルの基準に該当し、加齢に伴ってその割合が増加していました。社会的フレイルに該当する方の割合は、約3割に上りました。認知機能においては、「記憶」「注意」「実行機能」「情報処理速度」の機能の中から、1つ以上の領域において同年代と比較して低下していた方は12%であり、受診者の約1割以上の方が、認知機能に問題を抱えている結果となりました。プラチナ長寿健診の結果をもとに、自身の認知機能や心身の状態を把握し、その後の生活に役立てていただきたいです。

国立長寿医療研究センター 研究所
老年学・社会科学研究センター センター長 島田裕之さん

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