■貴重な戦争遺跡
国際交流員 Adam Simmonds
戦時中の出来事と言えば、毎年メディアが大きく取り上げる沖縄戦や、広島・長崎への原爆投下を思い浮かべる人も多いでしょう。私たちの身近な所にも、地元の人々が体験した戦争を語り続けている場所があります。
愛知県には、日中戦争や太平洋戦争下での生活を紹介する「愛知・名古屋戦争に関する資料館(名古屋市中区)」などの資料館のほか、貴重な戦争遺跡が点在します。例えば、中之院(南知多町山海)には、数々の軍人像が安置されています。もともと名古屋市千種区にあった軍人像は、昭和12年(1937年)の上海での戦闘で戦死した兵士の遺族が、本人の写真を基に墓石として作らせたものでした。占領期になると軍国主義の象徴とされ、進駐軍に破壊するよう命じられました。そこで、勇気のある僧侶が進駐軍に対し、「国のために死ぬのは、アメリカも日本も同じだ。日本人の手で壊すことはできない。壊すなら我々を銃殺した上で、自分たちで壊せばいい」と抗議したことで、現在も像は残っています。
当時、家族はどんな気持ちで像を作らせたのでしょうか。後にアジア太平洋各地が戦場となった中、同じような思いをした家族は、各地にどれほどいたでしょうか。軍人像の前で手を合わせながら、戦争がもたらすことを考えています。
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