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《特集》令和6年度 市長施政方針と予算(2)

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愛知県小牧市 クリエイティブ・コモンズ

◆私の基本認識
次に、社会経済情勢に対する私の基本認識について申し上げます。我が国は今、歴史的な転換点に立っています。
経済に目を向けますと、日経平均株価は好調に推移しており、バブル期以来の史上最高値を更新しました。また、インフレを背景とした各国の金融政策の違いを反映する形で円安が進行しており、輸出企業の業績を押し上げています。
さらに、賃金も上昇しており、昨年の賃上げ率は3・58%と30年ぶりの高水準を記録しました。
仮に緩やかな物価上昇とともに賃金が上昇していく経済好循環の状態が実現すれば、日本経済はいよいよ長らく続いたデフレから脱却し、経済を成長軌道に乗せることができるのでは、との期待が高まっています。
しかし、コロナ禍から経済活動が正常化する一方で、人手不足の深刻化や長引く物価高騰など、今後の日本経済の足枷ともなる問題も顕在化しています。
まず、人手不足についてです。
昨年のコロナ禍からの回復・正常化の中で、タクシーやトラックのドライバーをはじめ様々な分野で、人手不足が顕在化しています。コロナ禍のうちに、人口のボリュームゾーンであった団塊の世代が後期高齢者となり、労働力人口の減少が進みました。人口減少への対応として、この十数年間に女性の就業率は上がり、定年後に働く人も増えましたが、今後は、就職する若い世代の人口が退職する世代の人口より大幅に少ないため、労働力人口の減少は加速する見込みです。そのため、人手不足は一時的なものではなく、少子高齢化・人口減少社会が本格化している中、更に深刻化していく可能性が高いと言えます。
労働力不足の問題は、生産年齢人口が急激に減少していく我が国においては容易には解消されない問題であり、長期にわたって日本経済に大きなマイナスをもたらす問題です。
そのため、私は、かねてより少子化対策や外国人材の活用などの抜本的な労働力維持政策として「人口戦略」を国において最優先課題に位置付けて全力を投じるべきであると考え、一昨年の9月に全国青年市長会を代表して岸田総理にお会いし「人口戦略を国の骨太の柱に据えること」の提言をいたしました。
また、本年1月18日に本市で開催した「外国人集住都市会議こまき2023」では、台湾や韓国などと人材確保競争が激化する中で日本が外国人から選ばれる国となるために、「国が国民的な議論に本腰をあげて着手し、本格的な人口減少に突入した我が国にとって外国人材が真に必要であることを説明し、人口減少社会の危機感と多文化共生社会のビジョンを共有する」ことを「こまき宣言」として、国に求めていくこととしたところであります。
もう一つは、物価高騰についてです。
原材料や資材、エネルギーや食料品などの物価高騰は私たちの日々の生活を直撃するだけでなく、あらゆる生産コストを上昇させ、自治体の財政や企業の経営を圧迫しています。
その大きな要因となっているのは、言うまでもなく歴史的な円安です。
世界的なインフレは落ち着きつつあると言われており、いずれ近いうちに米国のFRB(連邦準備制度理事会)が金利引き下げに動けば過度な円安は解消されるとの見方がある一方で、我が国の実質金利はマイナスで、なおかつマネタリーベースの拡大を続けている日本銀行の金融政策は円の貨幣価値を大きく下落させており、加えて近年は我が国の貿易収支・サービス収支ともに赤字に陥っていることから、これまでにないこうした構造的な問題が円安圧力となり、今後長期にわたって輸入物価の高騰を常態化させる可能性があり、食料やエネルギーを輸入に頼る日本経済の存立を危ぶませることになるのでは、と危惧しています。

私は、平成23年の市長就任以来一貫して、右肩上がりの時代から右肩下がりの時代への大きなパラダイムシフトのインパクトと、それに合わせて行政運営の考え方も抜本的に見直す必要があることを申し上げてきました。
長らく15万人を維持してきた小牧市の人口も、昨年10月にはついに15万人を割り込みました。高齢化率はいよいよ25%を超え、一方で、今後数年以内には市内の多くの小学校で1学年が1クラスとなり、クラス替えができなくなる見込みで、小牧市においても少子高齢化・人口減少が着実に進行しています。
地方自治体として、人口減少は広範囲に様々な影響が懸念されますが、特に、学校施設や集会場をはじめ、道路設備や橋梁、上下水道などの社会インフラの維持・更新が将来大きな困難に直面することは明らかであり、そのため、今後のインフラの整備にあたってはこれまで以上に将来の需要や維持管理コスト等を見通した慎重な検討を行わなければならないものと考えています。
私は、以上申し上げたような基本認識に基づき、我が国の現状と将来に強い危機感を持っており、小牧市においても今後の市政運営はさらに厳しさを増すものと考えておりますが、そうした中にあっても新たな時代の潮流を見極め、変化を恐れず、見直すべきは抜本的に見直すなど、揺るぎない信念と決意をもって様々な行政課題の解決に取り組んでまいりたいと存じます。

折しも、令和6年は、本市の最上位計画である「小牧市まちづくり推進計画第2次基本計画」を本格的にスタートさせる重要な年であります。
これまでの歩みを止めることなく、未来をしっかりと見定めて市政を着実に前進させてまいります。

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