■甘泉寺の涅槃図
甘泉寺の涅槃図は、昭和47年6月7日に愛知県の文化財に指定されました。
涅槃図とは、釈迦が亡くなるときの情景を描いたもので、釈迦の命日に行われる涅槃会の本尊として用いられました。大きさは、縦175cm、横281cmになります。
愛知県には質の高い涅槃図が多く残っており、涅槃図の歴史的変遷を辿る際に欠かせない重要な作例が多くあります。甘泉寺の涅槃図もその一つです。
釈迦が右手枕をして宝床(寝台)の上に横たわり、その周りを多くの会衆やゾウ、鳥、亀などの動物が取り囲み、釈迦が亡くなったことを悲しんでいる様子を描いています。描かれている人物や動物の間隔が他の涅槃図と比べて空いており、すっきりとした印象があります。
全体の構図や人物、動物の図像は、中世以降に流行する形式をとっており、筆の描き始めに釘のような形状ができる釘頭や、柳の葉のようにしなやかに衣服の皺等を描き、躍動感を出す柳葉など、筆線に中国の宋の時代の筆法が見られることから、室町後期の作と推定されており、とても貴重なものです。
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