■災害医療について(2)〜DMATの紹介〜
災害発生時には、日本赤十字社が常備編成する救護班、日本医師会が組織するJMAT(日本医師会災害医療チーム)、阪神・淡路大震災の教訓を生かし発足した日本DMATなど多くのチームが協力して、災害医療活動に従事します。
▼DMATとは?
災害派遣医療チーム「Disaster Medical Assistance Team」の頭文字を取り、略して「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。医師、看護師、業務調整員(医師や看護師以外の医療職及び事務職員)の1チーム最低4名で構成され、厚生労働省が実施する専門的な研修や試験を受けた医療チームです。
DMATは、災害急性期(発災から概ね48時間以内)に活動できる機動性と自己完結性を備えています。災害時に多くの傷病者が運ばれる被災地内の病院機能を維持・拡充するための支援活動や、重症傷病者を被災地外の医療機関へ搬送する広域医療搬送など専門性を活かした医療的支援を行います。
▼医療機関での災害対応体制と情報システム
災害発生時、すべての医療機関は、職員や患者さんの生命と健康を守るため、災害モードに切り変えて機能維持を図ります。被災により建物倒壊の危険性がある場合や、病院機能維持が困難な場合には、病院から避難することもあり得ます。また災害時は医療需要と医療資源のアンバランスが生まれるため、医療提供マネジメントを効率的に行う必要があります。国、都道府県、医療機関等は、EMISなどを活用することで被災状況を把握し、都道府県災害対策本部、DMATなどと連携を取り、応援の派遣、搬送調整、搬出トリアージや患者情報の伝達などが行われます。
▽EMIS(イーミス)とは?
EMIS(広域災害・救急医療情報システム)は、被災地における人・モノ・情報のニーズに対応するために、災害時の医療情報をインターネット上で集約・共有し、被災地支援時に役立てられるようにしたツールです。医療機関や避難所の支援に必要な情報を集約する機能やDMATや救護班の活動状況を可視化する機能、広域医療搬送時の患者管理機能などがあります。
医療機関においては安否確認の意味があり、発災時には速やかにEMISに被害状況の入力を行い、要支援か否かを発信し、その後も定期的に情報更新します。
▼災害訓練
災害が起きれば各被災地へ派遣され被災地内での活動を行い、当院が被災すれば院内の災害対応を行います。また、災害が起きなくても定期的に訓練(内閣府が主導の政府総合防災訓練、中部ブロック実動訓練など)に参加し、高度かつ専門的な訓練を繰り返し、技能維持を図り、平時から災害に備えています。
万が一の時の備えとしてDMATは活動しています。行政(県・市町村)や消防、警察、自衛隊などとも連携を取りながら、「避けられた災害死を減らす」「一人でも多くの命を助ける」ために、災害拠点病院、DMAT指定医療機関としての役割を果たしていきます。
監修:市民病院DMAT(災害派遣医療チーム)
問合せ:市民病院(代表)
【電話】22-2171
ID:751376216(ほのか診察室)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>