歴史民俗資料館の学芸員・田中が町にまつわる歴史や文化等を紹介するコーナーです。
◆煌(きらび)びやかな刺繍の世界
春のお祭り。今年は、ふれあい山車まつりが開催されるということで、山車やお祭りに関することを紹介していきます。
今回は、水引幕に注目してみます。水引幕とは、左右を覆う大幕の上部にある細長い幕のことです。龍・鳳凰といった霊獣をはじめ、おめでたい生き物の図柄が施されています。かじを切った瞬間に風圧で水引幕が浮き上がると、煌びやかな生き物たちが飛び出してきそうです。
上ヶ区宮本車には、生き物ではなく「御幣(ごへい)」が施されています。御幣は、宮本車にしか許されていない図柄だそうです。御幣は、神様へ捧げる貴重なもの、神様そのものや依代(よりしろ)、祓(はらい)具として用いられます。山車の神聖さを強めると同時に、幕が揺れると神主(かんぬし)が御幣を振る姿を彷彿(ほうふつ)とさせます。まるで、穢(けが)れを祓(はら)い悪い事が起きないようにと願っているようですね。それぞれの思いを込めた図柄が山車を飾り上げます。刺繍でしか表現できない色や立体感を感じてみてください。
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