■市民病院副院長 荒川大吾(あらかわだいご)
(消化器内科医師)
超高齢社会の日本において、2025年には全人口の17%が75歳以上となります。人生100年時代といわれる現在、元気で生きがいのある高齢期にするために、健康寿命を延ばし、介護予防を実現していくことが非常に大切です。
高齢者は健康な状態から要介護状態になるまでに、「フレイル」という段階を経ていると考えられるようになりました。要介護状態にならないためには、フレイルに気がつき、早い段階からの適度な予防が必要です。
今からでも遅くありません。フレイルを知り、今日からフレイルの予防・改善に取り組みましょう。
■フレイルとは
日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳。年齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態になるリスクが高くなった状態をいいます。
フレイルは次の3つの要素から構成されています。
(1)身体的フレイル
運動機能の低下、口腔機能の低下、低栄養など
(2)精神・心理的フレイル
認知機能障害、うつなど
(3)社会的フレイル
閉じこもり、孤立、孤食など
これらの3つの要素は相互に関連しており、フレイルの予防のためにはいずれの要素も欠くことはできません。
多くの高齢者が中間的な段階(フレイル)を経て、徐々に要介護状態に。
「自分は病気もしていないから大丈夫…。」
そんなあなたも、フレイルが始まっているかもしれません。
体重が減少傾向、重いものが持てない、疲れやすい、歩く速度が遅くなったなど、気になる兆候はありませんか。
フレイル予防のためには自分と向き合い、気がつくことが大切です。
■サルコペニア※の悪循環を断ち切る
加齢により全身の筋肉量が減り、筋力低下をきたす現象のことをサルコペニアといいます。サルコペニアは、悪循環に陥ると、どんどんフレイルの程度が強くなっていくため、「筋力の減少」はフレイルの最大の危険因子だといえます。
サルコペニアの原因は、加齢、炎症性疾患、低活動、低栄養など。その中でも普段の生活の中で改善できる「低活動」と「低栄養」は運動(リハビリ)や食事(摂食嚥下訓練)などで予防できる可能性が高まります。
※ギリシャ語で筋肉を意味する「sarx」と喪失を意味する「penia」からなる造語
■フレイルの予防
4つの要素をバランスよく!
《運動》
日常の活動よりやや強い負荷で。体操教室や運動用品などの利用が有効です。
《栄養》
いろいろな食品を摂取すること。高エネルギー、高たんぱくの食品を補給して低栄養状態の防止を心がけましょう(肉・魚・卵・乳製品など)。
《社会参加》
趣味やボランティアなどを通じて人との交流、会話を心がけましょう。社会とのつながりは、認知機能低下防止にもなります。
《口腔機能維持》
定期的な口腔ケアや噛む力を鍛えることで健康増進につながります。
◆今日からできるフレイル予防
◇食事編
・しっかり1日3食
・家族や友だちと食べる
・少量でもバランスよく
タンパク質は手軽に食べられる卵や乳製品がおすすめ。冷蔵庫に常備しておくと便利。
◇運動編
座ってできる簡単な運動をYouTubeで公開中!
ストレッチ編もあります。かっぱのかわもんと毎日コツコツが大切です。
・津島市公式YouTube
※二次元コードは本紙P.3をご覧ください。
問合:市民病院管理課管理G
【電話】28-5151
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