■脳神経内科って?
津島市民病院 脳神経内科医師
加藤暉康(かとうてるやす)
◇はじめに
皆さん“脳神経内科”という科についてどのような印象があるでしょうか?
ご自身やご家族に脳神経内科に通院されている方がいれば、印象のある方もいるかもしれませんがなかなか馴染みが薄く、「脳神経内科の医者って何をしているの?どんな病気を診ているの?」という方も多いのではないかと思います。
私たち脳神経内科の所に来られる方は、困っている症状が様々です。例を挙げると「最近物忘れが多い」「頭が痛い」「手足が動かない」のようなことから、「ものが飲みこめない」「上手にしゃべれない」「うまく動き出せない」「手足が変な風に動く」「(体の一部が)しびれる感じがする」「ふらふらする」「様子がおかしい」「痙攣している」「反応がない」等々…。
勿論これらがすべて脳神経内科の病気のせいとも限らない(ここが医学の難しさ・とっつきにくさ)ですが、とにかく患者さんの困っていることは多種多様で「そんな症状が脳神経内科だったの!?」ということもよくある話です。
神経というのは大なり小なり全身至る所に張り巡らされており、私たち人間はこの神経が色々なことを監視しバランスを調整しているおかげで元気に生きています。逆にこのどれかが崩れると症状が出てくるわけで、問題の起きた場所次第で症状が様々になってきます。このため、どこに問題が起きているかを突き止めることが大事になります。しかし、症状が様々すぎて、初回の診察時点では特に診察に時間のかかる科で、1人の患者さんにお話しだけで30分かかることもざらにあります。
◇今の脳神経内科の医師の仕事
ここ100年程の医学の進歩の中で、様々な病気が発見され仕組みが解明され治療法が生まれてきましたが、神経の病気は難しいことが非常に多いといわれています。
認知症は今でも治らないことが多い病気ですし、今日本で1・2を争うほど数の多い難病であるパーキンソン病も脳神経内科の病気です。それだけでなく、若い人も良く経験するような“頭痛”1つとっても原因次第では解決の難しい病気が隠れていることがあります。
しかしそんな中でも少しずつ仕組みがわかってきて、薬の開発が進んできている分野でもあります。昔は数年後には寝たきりになってしまっていたような病気も、今では病気の進行を遅らせたり、上手に付き合っていくためのお薬が作られてきています。
最初に述べたような症状に心当たりがあれば、是非私たちにご相談ください。すべてを解決できる!とは言えませんが、それでも悪い場所がどこかを考えて、上手に付き合っていく方法を提供できれば、それが私たち“脳神経内科”の医師の仕事だと思っています。
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