「がん(悪性新生物)」は日本人の死亡原因1位であり、男女ともに2人に1人はがんになるといわれています。高齢になるにつれて発症率が高いとされていますが、生活環境の変化などにより、最近では、10代や20代といった若い世代ががんにかかるケースも多くなっています。
今回の特集では、若い世代のがんや、がんの原因の一つであるHPV(ヒトパピローマウイルス)、また、その予防法などについてお伝えします。詳しいことは、保健センターへお問い合わせください。
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■若い世代のがん
思春期・若年成人世代をAYA(アドレセント・アンド・ヤングアダルト)世代といい、主に15歳から39歳までの年代を指します。この世代は、がんにかかる率やがんによる死亡率が低いため、自分ががんだとは思わず、学業や仕事を優先し医療機関の受診が遅くなる傾向にあります。がん治療をすることとなった場合には、ライフステージが大きく変化する世代でもあるため、学業や就労などの遅れ・中断が発生し、生活へ大きな影響を与えてしまいます。
がんの発生状況を性別・年代別にみると、男性は40歳以上に比べて、39歳以下で白血病の割合が多く、女性は40歳以上と比べて、39歳以下で子宮頸がんの割合が多いことが分かっています(国立がん研究センター調べ)。このように、AYA世代の方がかかりやすいがんもあるため、性別・年代に合った予防法や対策を知っておくことが大切です。
■原因と予防法
がんの原因には、生活習慣の乱れや、ウイルスの感染などがあります。予防法はさまざまで、生活習慣の乱れが原因のがんは、禁煙や節酒、適度な運動、適正体重の維持などに取り組むことが予防につながります。また、ウイルスなどの感染が原因のがんには、ワクチン接種によって予防できるものもあります。
ワクチン接種で予防できるがんとされる子宮頸がんの原因のほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続的な感染です。HPVワクチンの接種は予防接種法に基づいて行われます。その安全性は国が保障しており、接種による感染予防の有効性が、接種後の副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、接種が勧められています。
信頼できる情報源から最新の情報を取り入れ、自分で判断して予防に取り組みましょう。
■がん教育を実施しています
がん対策基本法の下、国が策定した「がん対策推進基本計画」により、市においても、子どもに対するがん教育を推進しています。
豊川高校では1月下旬、男女約750人の生徒を対象に、ささき小児科院長・佐々木俊也医師による「大切な命を守るため高校生のみんなに知ってほしいがんのはなし」と題した講演会が行われました。
《講演を聞いた生徒の声》
◇豊川高校2年・杉田七海さん
がんは身近な病気だと感じました。定期的に検診を受け、早期発見・早期治療することが大切だと思います。生活習慣なども見直して、がん予防に取り組みたいと思いました。
◇豊川高校3年・渡辺琉里さん
がんは大人がなる病気だと思っていましたが、自分もなる恐れがある年代だということを知りました。無関心にならず、家族ともがんについて話し合っていけたらと思います。
■HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染するとどうなるの?
HPVは、性的接触のある女性であれば、その多くが「一生に一度は感染する」といわれているウイルスです。ほとんどの場合、感染してもウイルスは自然に消えていきますが、感染している状態が長く続くと、一部の人でがんになってしまうことがあります。また、感染した後にどのような人ががんになるのかまだ分かっていないため、感染を防ぐことががんにならないための手段とされています。
このウイルスは性的接触によって男性にも感染する恐れがあり、中咽頭がんなどのがんを引き起こすことがあります。HPVによる中咽頭がんは、喫煙や飲酒による場合と異なり、早期発見が困難ながんといわれています。「HPV=女性」というイメージを持たれてしまいがちですが、男性にも大いに関係のあるウイルスです。
○HPVは、数年~数十年かかって進行し、感染は、一生のうちに何度も起こりえます。
(0)正常
(1)HPVの感染
正常な細胞にHPVが感染する(ほとんどは自然に消えて正常に戻ります)
(2)こちらHPVの持続感染
一部の人でHPVがなくならず、ずっと感染した状態になる
(3)前がん病変(異形成)
がんになる手前の状態になる(一部は自然に正常に戻ることがあります)
(4)がん
前がん病変からがんになる(手術などの治療が必要になります)
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