加茂市長 藤田 明美
11月に市内7か所で防災をテーマにした座談会を開催いたしました。参加された皆さまから多くのご意見、ご提案をいただきました。ありがとうございました。この度座談会を開催したのは、長い間市民の皆さまの中にある防災の常識を一変したいと思ったからです。
皆さまご承知のように、地球温暖化の影響もあり毎年各地で災害が発生しています。特に近年は、線状降水帯の発生やゲリラ豪雨により瞬く間に状況が悪化し、川の水が堤防を越えて浸水したり土砂災害が発生したりして大きな被害が出ています。
このような状況に鑑みて、加茂市ではメールやLINEなどのSNSによる情報配信、防災アプリ「かも防災・行政ナビ」と専用タブレットによる情報配信、新しい洪水ハザードマップの作成とマイ・タイムライン(私の避難計画)の周知、防災出前講座の開催、自主防災組織の結成の支援など、災害時に最も重要となる「自助」、「共助」の促進のための施策を進めてまいりました。
また、9月24日には約30年ぶりの総合防災訓練を行いました。このような訓練は毎年開催していきたいと考えています。
「自助」とは、自分の命は自分で守るということです。これには家族も含みます。
「共助」とは、一人で避難することが困難な人を手助けし、地域のみんなで協力して命を守ることです。
「公助」とは、公的な機関による救助、援助です。市役所は市役所がやるべきことを全うすることで市民の命を守ります。
幸いに加茂市では近年大きな災害は起きていませんが、昨年の8月に村上市・関川村で線状降水帯により大きな災害が起きているように、加茂市でも大きな災害はいつ起きてもおかしくない状況です。ひとたび線状降水帯が発生すると瞬く間に状況が悪化するので、「まだ大丈夫」という考えは禁物です。
平成23年の7.29新潟・福島豪雨のときは、市はスクールバスを合計12台出し、134人の方が乗車し避難所へ避難しました。このときは幸いにも越水や破堤はなく、大きな被害はありませんでした。
しかしこれからは、洪水や土砂災害が迫ったときにバスでの避難は難しいと考えています。繰り返しお話しているように、近年の災害では急激に状況が悪化しています。バスを手配し道路が冠水している中で、避難が必要な地区を回り全員を乗せて避難してもらうことは不可能に近いと思います。
そこで皆さまにお伝えしたいのは、
(1)避難をする際に、これまでのように市はバスを出すことはありません。
(2)日頃からハザードマップで確認して、自宅の災害リスクを把握してください。
(3)災害時は早めの避難を心がけてください。
ということです。
市としても早めに避難所を開設し、空振り覚悟で避難指示を出します。市の避難所だけではなく、安全な親戚や知人のお宅、自宅の2階以上が安全と確認できた場合は、自宅の2階に避難することも有効です。各自でご判断のうえ、早めに避難することが大切です。
各自で判断と言われても、実際に自分はどのように行動すればよいのかよくわからないという方もいらっしゃると思います。そのようなときは、市の「かも防災出前講座」をご活用ください。市の防災担当職員が皆さまのところへ出かけていきます。メニューも、体験、講話、クイズ、ゲームなど様々な形式で防災について学ぶことができます。地域の皆さまや各団体の皆さまでご検討いただけると幸いです。
今年は新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、人々の動きは昨年よりずっと自由になりました。そのことを忘れてしまいがちになりますが、自由に人と会ったり、移動したりできる環境に感謝して1年を締めくくりたいと思います。
皆さま、よいお年をお迎えください。
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