加茂養生訓 5(養生の術は心を静かにし、身を動かすをよしとす)-ウォーキングのすすめ-

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加茂病院　富所　隆

前回は健康に運動がどのように役立つかについてお話ししました。
今月は、具体的な運動としてウォーキングについてお話しします。

『一日一万歩』という言葉を皆さんは知っていますよね。1960年代に入り、自動車の普及は、国民の運動不足を引き起こし、医師やジャーナリストはこぞって「1日1万歩歩きましょう」と提唱しました。1965年に発売された、世界初の歩数計(のちに万歩計)、さらに厚労省が国民の健康増進を目的に『健康日本21』を策定し、その中で『一日一万歩』を目標と定めたことなどから、私たちはその言葉を金科玉条としてしまったようです。

2014年に群馬県中之条町の約5,000名の10年間にわたる観察から、運動と健康寿命の延伸効果について報告されました。そこで推奨されたのは一日の歩数が8,000歩(そのうち早歩きを20分)という水準で、それ以上歩いても心血管系および筋骨格系の機能は高まらなかったとされました。この調査結果を受け、新しい『健康日本21(第三次)』では、成人男女各8,000歩/日、高齢者男女各6,000歩/日という目標が設定されました。

とは言え、今まで何も運動してこなかった方にはピンと来ないかもしれませんよね。でも大丈夫です。少なくても1日4,000歩から病気を予防する効果が期待できます。しかも、この歩数は一日の総計の歩数で数えます。予定があったり、天気が悪かったりと、ウォーキングを続けられない日もあるものです。そんな時には、1日の歩数ではなく週ごとの歩数に注目することです。週末だけの運動でも、構いません。ご自身の生活サイクルに合わせて気長に、自分のペースで続けましょう。

先ず一日1,000歩だけ増やすことから始めましょう。駐車場の中の遠い位置に車を停めたり、エレベーターの代わりに階段を使ったり、電車やバスを少し早めに降りて残りを歩いたりするのも効果的です。

問い合わせ：県立加茂病院総務課
【電話】52-0701