妙高市は、市域の約7割が森林に覆われている自然豊かなまちです。この雄大な自然と共存していくために欠かせないのが、里山を守ることです。今回は、高床山や小丸山新田丘陵の里山の復元に取り組む環境保全団体の妙高里山保全クラブの活動を紹介します。
■暮らしを支えてきた里山
里山とは、人里の近くにある山や森林です。昔は、人が生活をするために食糧、生活材料、資材や燃料を供給してくれるたいせつな場所でした。近年では、生活の変化により里山と人のつながりは途絶えつつあります。
人が山に入らなくなると、荒廃する山や森林が増え、生物多様性が失われていくこと、自然災害に影響することや畑を荒らす有害鳥獣の生息域が拡大し、農作物被害が増加することなどが問題となります。自然環境を守っていくためにも、人が山に関わり続けることが必要です。
■里山復元への想い
新井地域にある高床山森林公園には、クロメダカやモリアオガエルなどの生物、カキツバタやジュンサイなどの植物などが数多く生息しています。公園内には、キャンプ場、芝生広場やテニスコートなどもあって市民の憩いの森となっています。
かつて高床山は、地域住民にとって欠かせない食料庫の森でした。しかし、ガスや石油などの化石燃料が普及したことで里山林が放置されはじめ、立枯れ木や倒木、笹やぶやつる性植物が所狭しに生い茂るような環境となっていました。
昔のような高床山を取り戻し
■里山の再生・保全活動
里山の再生・保全を図るため、クラブは、高床山や小丸山新田丘陵の草刈りや低木の伐採などの環境整備を行っています。
整備した里山では、保育園児や小学生を対象に貴重な植物の保護活動や伐採木を使った炭焼き体験などの環境学習を行い、子どもたちが里山を身近に親しむ機会も提供しています。
■取組が評価され内閣総理大臣表彰を受賞
妙高里山保全クラブは、4月26日に東京で行われた全国みどりの式典で、緑化推進運動功労者として内閣総理大臣表彰を受賞しました。里山の再生により地域の価値を高めるだけでなく、子どもの緑化意識の向上や里山整備に関わる人材育成にも貢献していることが評価されました。
式典では、天皇皇后両陛下のご臨席の下、岸田内閣総理大臣と関係大臣などが列席されました。
○妙高里山保全クラブ 沖川 庄平 会長
当クラブは、今年でちょうど20年目を迎えます。活力ある森への再生、子どもらが学習で集える森づくりをモットーに、手弁当の精神で取り組んできました。
森を整備するとは言っても、どの土地にも地権者がおられることから、地権者の深いご理解があればこそできる活動であるだけに、改めて心から感謝申し上げます。20年間取り組んでも妙高市の里山全体からすればまだ小さな点にすぎませんが、焦らず、地道に、今後とも里山保全活動に取り組み、妙高市のSDGs運動の一翼になれればと思いつつ最善を尽くしてまいりたいと思います。
問合せ:総務課 スマートCity・広報グループ
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