若い年代の女性を中心に増えている「子宮頸がん」。初期は自覚症状がほとんどありませんが「事前の対策ができるがん」です。「未来のあなた」のために「今」、考えてみませんか?
■子宮頸がんのこと
子宮頸がんは、子宮の入口にできるがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が主な原因です。多くの人が一生に一度は感染するウイルスで、多くは性交渉により感染します。HPVに感染しても、ほとんどの場合は免疫により自然排出されますが、ごくまれに感染が続くと、数年かけて一部ががんになります。20代後半から40代にかけて子宮頸がんにかかる方が増えています。
▽全国の子宮頸がん罹患率 令和元(2019)年度
※人口10万人当たりの診断数
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
日本では毎年、約1.1万人の女性がかかる病気で、さらに毎年、約2,900人の女性が亡くなっています。30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、1年間に約1,000人います。
●ワクチン接種と検診が鍵
ワクチン接種(1次予防)では、子宮頸がんの原因であるHPVへの感染を防ぐことができます。定期的な検診(2次予防)では、がんになる前や、がんの初期段階で発見することができます。2つを組み合わせ、子宮頸がんを予防することが大切です。
1次予防…ワクチン接種
+
2次予防…がん検診
ワクチンを接種していても、していなくても、20歳になったら定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。
▽柏崎市子宮頸がん検診年代別受診率
※令和5(2023)年度
■山田先生に聞く HPVワクチンと子宮頸がん検診
産科婦人科 山田医院
院長 山田潔医師
子宮頸がんで命を落としたり、子宮の摘出により出産できなくなったりすることを防ぐためには、2つの対策が必要です。1つ目はHPVワクチン接種を行い、HPVへの感染を防ぎ子宮頸がんにならないようにすること。2つ目は子宮頸がん検診による病変の早期発見です。
▽接種による副反応が不安です
A:副反応については、約半数近くに痛みや発熱がありますが、ほとんどが軽いものです。鎮痛解熱剤で対応できます。我慢できない痛みや発熱、体調不良などがあれば、まずは接種を受けた医院や病院にご相談ください。相談した施設で対応できない場合は、専門医へ紹介します。
当初HPVワクチン接種後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)などを中心とする「多様な症状」の報道があり、いったんワクチン接種勧奨は中止されました。「自分にもこの症状が起きるのではないか」と約4割の方が感じているとのデータがあります。その後の研究により、このような多様な症状が「ワクチン接種と因果関係がある」とは証明されないとされています。どうしても不安な場合はワクチン接種を見合わせるとしても、子宮頸がん検診をお勧めします。
▽定期的な子宮頸がん検診が必要なのはなぜですか?
A:HPVワクチン接種を受けた場合でも、免疫が不十分な場合や、HPVワクチンに含まれているHPV型以外の型によって子宮頸がんになる可能性はあり得ます。このため定期的に子宮頸がん検診を受けることが必要です。子宮頸がん初期や子宮頸部異形成(前がん状態)では、自覚症状がない場合がほとんどです。前回の検診で「異常なし」であっても、2年に1回の検診を続けることをお勧めします。今後、HPV検査単独法(※)が導入されると、陰性(HPV感染なし)の場合の検診間隔は、現在より長くなる(2年→5年)とされています。
なお、不正出血などの自覚症状があれば、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
※HPV検査は、HPVの感染の有無を調べる検査です。新潟県内で導入方法などを検討中のため、市の子宮頸がん検診でHPV検査を導入する時期は未定です。
▽検診の結果が「要精密検査」でした。自覚症状がなくても精密検査を受けないといけませんか?
A:子宮頸がん検診の目的は、異常の早期発見です。精密検査が必要となったら、放置せずに必ず専門医療機関を受診してください。子宮頸がんの初期であれば、子宮温存が可能です。HPVワクチン接種と子宮頸がん検診は子宮頸がんから身を守る対策です。
積極的な対応を検討してください。
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