■医療的ケア児のレスパイト入院について
坂町病院 小児科 今田研生
皆さんはレスパイト(respite)という言葉を知っていますか。小休止、一時的な中断、延期などを意味する言葉で日本では主に育児、介護、医療などの分野で使用されています。
近年は周産期および新生児医療の進歩により早産児や疾患のある新生児の救命率が上がっており、新生児集中治療室(NICU)に長期入院して退院後も引き続き人工呼吸器や胃瘻等を在宅で使用して痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児も多くいらっしゃるようになりました。
これらの児の医療的ケアは主にご家族が毎日行なっていらっしゃいますが、時には休息も必要です。そのような場合は定期受診をされているかかりつけやその近くの病院に一時的に児に入院してもらい、ご家族が休息したり用事を済ませたりされています。このような入院をレスパイト入院と呼びます。
関川村を含む当地域にお住まいの医療的ケア児のレスパイト入院は主に新潟市内の病院で受け入れられていることが多いようです。遠方であり、新潟県内の他の地域から利用される方もあるので、ご家族の希望に細かく合わせて利用日を調整するのに苦労される面もあるようです。また、レスパイト入院中に児の容態が急変するような場合は、より高次機能病院への的確な搬送が必要になります。
この度、当院の病床を活用して当院周辺医療圏の医療的ケア児のご家族様にレスパイト入院を提供することが検討されました。実現の為には、受け入れにあたっての病院側の問題点を整理して、それらを一つ一つ解決していく必要があります。医療的ケア者(=成人年齢に達している)のレスパイト入院は既に当院内科で実施しており、知識や経験の豊富な看護スタッフもいます。小児科領域でも、万一の急変時には新発田病院との連携により、早急な対応をしていただくことが可能です。しかし、医療的ケア児には重症度の違いをはじめ、個々に小児ならではの特有な注意点もあるので、予めご家族との緊密な信頼関係が構築されていることが望ましいと思います。
これまでに、当院周辺にお住まいの多くの医療的ケア児の方が利用されている児童発達センターを当院看護スタッフが訪問して実情を学んでくる予定です。また、個別の注意点についても情報共有してスタッフの能力向上を図り、安心・安全に対応できるような環境づくりを目指して準備して参ります。
*このコーナーへのお問い合わせは、県立坂町病院へ。
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