■災害時の薬の備え
坂町病院 薬剤部 薬剤師
小松 由莉香
2024年元旦、石川県で大きな地震がありました。新潟県沿岸部でも津波警報が発令されたことは記憶に新しいかと思います。災害は地震に限ったことではありません。2022年8月には村上市、関川村で豪雨による水害が発生し、被害を受けた方もいらっしゃると思います。さて、ここで皆様にお聞きしたいことがあります。災害時、すぐに避難を開始しなければならない状況に直面したときに、持っていくお薬がすぐ手の届くところに整理されてありますでしょうか。お薬の準備はばっちり!という方も、ちょっと不安…という方も一緒に確認してみましょう。
(1)お薬手帳は万能ツール!
お薬をもらうとき、ほとんどの薬局でお薬手帳シールが交付されますが、きちんとお薬手帳に貼って管理されていますか?2011年の東日本大震災では、お薬手帳のおかげでスムーズに病状を把握することができ、避難者に適切な薬の処方が行われたという事例が報告されています。お薬手帳にはアレルギーや既往歴(これまでかかったことのある病気)などを記載する欄がありますので、活用していただければお薬による想定外の事態を防ぐこともできます。避難の際には財布や携帯に併せてぜひお薬手帳をお持ちください。
(2)避難訓練でお薬を持ち出す練習をしましょう!
お住いの市町村で行われる避難訓練で、お薬手帳と一週間分、最低でも三日分の飲み薬や注射薬を持って逃げる練習をしてみてください。医薬品の供給や医療体制が復旧するまでにどれくらい時間がかかるかは分かりませんし、災害直後は負傷した方や重篤な症状の方の治療が優先されます。自分を守るために、自分の薬を持ち出せるように準備しておきましょう。
(3)糖尿病患者の方は気を付けることがいっぱい!
特に注意していただきたいのは糖尿病の患者様です。薬の種類によって中止してはいけない薬や食事量に応じた調節が必要な薬がありますので、事前に主治医と相談しておくことをお勧めします。普段通りの食事がとれていない状態で薬を飲んでしまうと低血糖を起こす危険性があります。低血糖に備えて非常袋にブドウ糖や砂糖(ショ糖ともいいます)を含んだ甘いジュースを入れて準備しておきましょう(ゼロカロリーの表記がある飲み物は飲んでも血糖が上がらないので注意が必要です)。
災害時のお薬の備えは意外と盲点になりやすいです。今回のテーマが皆様にとって少しでも参考になれば幸いです。
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