ともに陸上競技で活躍する三浦龍司選手と岡田海緒選手に、世界陸上とデフリンピックの見どころや意気込みを語っていただきました。
■世界陸上 三浦龍司選手
Ryuji Miura
ステップアップを実感できる大会に
◇Profile
2002年島根県生まれ。東京2020オリンピック3000m障害に出場し、日本人初入賞の7位入賞。ほか、数多くの日本記録を保持している。
■デフリンピック 岡田海緒選手
Mio Okada
金メダルを獲って恩返ししたい
◇Profile
1997年東京都生まれ。ブラジル2021デフリンピック女子1500mで銅メダル獲得、男女混合4×400mリレーで6位入賞を果たす。
■世界陸上×デフリンピック 2025年に開催!
――来年、世界陸上とデフリンピックが東京で行われます。今の率直なお気持ちを教えてください。
三浦:すごく貴重な機会だと思います。競技や選手に興味・関心を持っていただくきっかけになれば嬉しいです。特に外国人選手の活躍は海外に行かないと見られないですし、世界記録もどんどん更新され、全体的なレベルが上がっているので、すごく盛り上がるのではないでしょうか。
岡田:生まれ育った東京で開催されるので、家族や友人、お世話になっている方々に直接これまでの成果を見てもらえる、千載一遇のチャンスだと思っています。ぜひ会場でスポーツの感動を肌で感じてほしいです。デフリンピックはまだまだ認知度が低くてきこえない・きこえにくい人(聴覚に障害のある人)がパラリンピックに含まれると思っている方も多いので、別の大会であることを知っていただけたら嬉しいです。
■デフ特有の見えるコミュニケーションにも注目!
――デフリンピックは競技ルールなどに違いはあるのでしょうか?
岡田:基本的なルールは一緒ですが、特徴的なのは手話言語を使ったコミュニケーションですね。ほかにも、競技の進行や大会運営をスムーズに行うため、ランプやフラッグといった視覚で情報を得られるツールを効果的に活用しているので、そこも楽しめるポイントです。
三浦:すごく興味深いです。同じくスポーツに取り組む者として、来年のデフリンピックを楽しみにしています。
岡田:ありがとうございます。三浦選手のご活躍はずっと拝見していたので、お会いするのを楽しみにしていました。手話単語もいくつか覚えてくださって、とても嬉しいです。
三浦:こちらこそ、すごく気さくに話してくださるおかげでリラックスできています。岡田選手も僕と同じくミドル(中距離走)をやられているので、親近感がありますね。
■大会に懸けるそれぞれの思い
――大会での目標と、目標達成のために励んでいること、気を付けていることなど教えてください。
三浦:東京2020オリンピックに続いて東京で開催される国際大会なので、どのくらい成長できているかを皆さんにお見せできるいい機会だと思っています。僕自身もステップアップしていることを実感できる大会にしたいです。まずは冬の駅伝に向けて練習しつつ、世界陸上を目指して調整していく予定です。とにかく練習を継続することが大切だと思っているので、食事の管理や身体のメンテナンス、感染症の予防などは日頃から気を付けています。
岡田:これまでのデフリンピックや世界デフ陸上で、銀メダルと銅メダルを獲得しましたが、金メダルだけがまだなんです。私の地元である東京で金メダルを手にし、応援して支えてくださっている皆さんに恩返しがしたいと思っています。そのために、まずは11月末にあるデフリンピックの選考会に向けて、練習メニューに取り組んでいます。基本的には三浦選手と同様ですが、練習がうまくいかなかったり落ち込んだりしたときに、それを次の日に持ち越さないように気を付けています。そのためにはしっかり寝る!
三浦:僕も一緒です、メンタルを切り替えるなら寝るのが一番ですね。
――音声を多言語で表示する透明ディスプレイを体験していかがでしたか?
岡田:リアルタイムに文字が表示されるところが素晴らしいです。何よりも優れていると感じたのが、透明であること。きこえない・きこえにくい人にとっては表情も重要なポイントなので、相手の顔が見えるところが一番良いと感じました。こうしたツールを活用し、音声言語が中心の社会で耳がきこえにくくても、手話言語が分からなくても、当たり前にコミュニケーションがとれる世の中になったら素敵ですね。
三浦:そうですね、新しい技術やツールによってみんなが心にゆとりを持てるようになれば、お互いに優しく接することができて過ごしやすい社会になる気がします。
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2024年11月15日・16日にデフ1年前イベント開催
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