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特集 名建築を見に行こう

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東京都中央区

受け継がれていく近代建築物「中央区近代建築物調査」から

第17回中央区まるごとミュージアム2024
本特集では、「近代建築物調査100選」から2棟の名建築にスポットライトを当て、近代建築物の魅力を紹介します。

■名建築File 01「奥野ビル」
住所:銀座1-9-8
竣工(しゅんこう)年:1932年(昭和7年)
建物規模:7階建て(地下1階)RC造
用途:共同住宅(現在はテナントビル)

「アートギャラリーや設計事務所… 昭和の時代を色濃く残す名建築」
奥野ビルは、RC造7階建て(地下1階)の集合住宅として昭和7年に竣工。住居として利用されたのは平成21年が最後となりました(須田美容室306号室)。現在は、テナントビルとして活躍し、事務所、画廊・アトリエやギャラリーが入居しています。
街の変貌が目まぐるしい銀座エリア…。その様子を約90年前から見守り続けてきたこのビルはドラマや映画のロケ地にもなっています。注目すべきは優れた耐震性と設計の先進性。太い梁(はり)や柱、それらをつなぐハンチが躯体(くたい)を強固に支えているため、平成23年に発生した東日本大震災では軽微な被害にとどまりました。また、当時最先端の電話回線を全館に完備し、インターネット回線の引き込み工事も対応できているといいます。
オーナーの「良いモノを長く使う」精神によって、バブル時代の“スクラップandビルド”を乗り越えてきたそうです。90年の時を超えて今なお残る名建築。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

○「中央区近代建築物調査」とは
中央区教育委員会が、平成23年から3年間にわたって行った区内の近代建築物に関する調査。対象は明治期から昭和40年までに建造された区内の建物。そのうち特に区にとって貴重な価値を有する事例を100選として選定。「伝統ある職人の技やなりわいとともにあり続ける建物」「時代の変遷とともに用途を変え、新しい形で使われ続ける建物」「まちが変化する中で残る近代建築と街並み」などの視点で評価している。

■名建築File 02「日証館」
住所:日本橋兜町1-10
竣工年:1928年(昭和3年)
建物規模:7階建て(地下1階)RC造
用途:オフィスビル

「渋沢栄一邸の跡地に建設 証券街のシンボル的存在」
言わずと知れた“金融の街”日本橋兜町。ひときわ重厚な存在感を放つ建物が、日証館です。昭和3年に竣工。建物の設計は建築家・横河民輔が率いる横河工務所が手がけました。昭和18年、全国の証券取引所を軍の統制下に置くため、日本証券取引所を設立。英語表記(ビルディング)が使えなかったため、日証館と和名の呼称となりました。
建築当初、1階のアーチ状の開口部は扉となっており、そこから従業員が飛び出してきて隣の取引所へ走って向かった、という兜町ならではの逸話も…。その後、増築・改修工事を経て、全館とも賃貸オフィスビルに転用。現在、アーチ部分には窓がはめ込まれていますが、階段部分に当時の名残が見られます。
このビルの魅力は何といっても美しい古典様式風の建築デザイン。整然と並べられた開口部の1階と上層階はアーチ状となっており、大小の対比と繊細なディテールが特徴的です。なお、この土地にはかつて、“日本近代経済の父”と呼ばれた渋沢栄一が邸宅を構えていました。この地で日本経済の発展を見守ってくれているかもしれません。

■企画展で中央区の近代建築物を再発見しよう!
郷土資料館では、10月25日から12月26日までの期間で、企画展「受け継がれていく近代建築物~中央区近代建築物調査から~」を開催しています。この企画展では、いろいろな形で今も保存活用されている建造物を取り上げることで、歴史的建造物の特徴や魅力を紹介しています。
また、まるごとミュージアム当日の11月10日には、展示担当者によるギャラリートークを行いますので、ぜひお越しください。
なお、開催時間や休館日などは「区のおしらせ ちゅうおう」10月15日号10面に掲載しています。

問合せ:本の森ちゅうおう郷土資料館
【電話】3551-2167

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