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[NEWSまちみらい]マンションよもやま話

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(コラム)
■今、脚光を浴びる「第三者管理者方式」
マンション管理士 飯田勝啓(いいだかつひろ)

少し前まで、分譲マンション管理組合は理事会で管理することが常識でしたが、近年「第三者管理者方式」なる言葉を随所で聞くようになってきました。これは文字どおり、区分所有者以外の第三者が理事会(理事長)に代わって管理者になる制度です。千代田区分譲マンション実態調査では「実施済み」や「検討中」を合わせ、半数以上(52.6%)がこの制度に関心を持っていることがわかりました。

この制度が脚光を浴びる理由は、区分所有者が理事にならずに、外部の専門家が管理してくれる、それにより理事の負担がなくなるからです。毎月の理事会がなかったら、どんなに楽になることか。目先だけで見るならば、そのとおりです。

役員(理事・監事)のなり手不足が深刻な中で、本当に「なり手不足解消」の切り札になるでしょうか。管理会社が管理者になることが多い中で、管理組合と管理会社は利益相反関係にあります。管理会社の利益は管理組合の不利益になる場合があります。理事会があれば理事会が目を光らせることができますが、理事会をなくした後に誰がチェックできるのでしょうか。外部の監査の専門家を起用する組合もあるようですが、会計の専門家が行う会計業務と管理組合運営の業務は大きく異なります。加えて外部の専門家を「監事」として起用する管理会社の下で、適正な運用ができるのか疑問が残ります。

「第三者管理者方式」が注目されるようになったのはここ数年のことですが、リゾート型や投資型マンションでは以前からこの方式がありました。そこでの管理者の暴走や不透明な運営など過去に問題があったことも忘れてはなりません。

理事会をなくして、「第三者管理者(管理会社)」に移行する際は管理規約を改定する必要があります。移行後、しばらくは問題がなかったとしても、その後、いろいろな問題が生じて、元の理事会方式に戻すことになった場合は、特別決議で規約を改定し、理事会を新たに作るという高いハードルが立ちはだかります。

「第三者管理者方式」は、管理不全など管理組合運営に行き詰まった最終手段として検討することは有効ですが、理事会が機能しているのであれば、その工夫次第で「役員のなり手不足」は改善できるのではないでしょうか。対策の一例を挙げるならば、役員定数の削減、役員資格の配偶者や親族への拡大、管理に関する専門知識を有するマンション管理士などを「顧問」として起用する方式などが考えられます。また、まちみらい千代田の制度でマンション管理士等の専門家を理事会等に無料で派遣する制度(年度内6回まで)もあるので、管理組合(理事会)運営の一助として検討することも可能です。

「役員のなり手がいない」や「理事の負担がなくなる」という理由で「第三者管理者方式」を検討している管理組合の方は、慎重に対応してください。そのうえで最終手段として「第三者管理者方式」を導入する場合は、国土交通省の「外部管理者方式等に関するガイドライン」に準拠し、最低限、管理組合の不利益を回避することを忘れないでください。管理組合の主体性と大切な資産を守るために…。

参考:マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン
(国土交通省 令和6年6月改定)

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