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自治体の皆さまへ

【特集】はじめまして ここにいるのは私自身です(2)

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■えみふるでのワンシーン
※本紙をご覧ください。

■ロボットの視線
・少し見上げると、エレベーターが見えるように設置してあるミラーがある。乗り降りする来館者を見て、応対することも多い。
・分身ロボットからいつも見えている、えみふるのエントランス。地域福祉交通の風ぐるまが行き来し、来館者に「バスが来ましたよ」と声をかけるのもおなじみになってきた。
・分身ロボットが顔を横に向けると、受付台が見える。来館者が受付票に記入するときに話しかけ、「いってらっしゃいませ」と送り出す。その声は、人それぞれで、おもしろい。
(※本紙をご覧ください。)

■働くことの新しい選択肢です
働くことは生きがいや自己実現、社会参加につながる重要な要素です。在宅勤務や短時間雇用などの就労方法が多様化するなかで、障害などをお持ちの方の働き方にも新しい選択肢があるということを知ってもらいたくて、事業を始めました。
働く意欲がありながらも、外出困難が理由で就労に結びつかない方に、分身ロボットを通じた「その人がその場にいるようなやりとり」をしてもらい、人やものごとに関わってもらうことで、生きがいや社会参加につながる働き方を実現していただきたいと思います。
・障害者福祉課 林良太さん
・障害者福祉課 係長 加山健太朗さん

■コミュニケーションが豊かに
導入当初は、多くの方が「どこから声が聞こえるの」と不思議そうに周りを見渡していました。でも、パイロットの皆さんが優しく声をかけてくださって、徐々に存在を知っていただけるようになりました。今では分身ロボットに話しかける方が増え、会話を楽しむために受付のいすに座る方もいらっしゃいます。
分身ロボットがいることで受付に和やかな雰囲気が生まれました。単なる案内役を超えて、利用者とのコミュニケーションを深める役割を果たしています。これからも分身ロボットがもたらす心温まる交流が、皆さんの日常をより豊かにすることを願っています。
・千代田区立障害者福祉センターえみふる 堀田徹さん

■気軽に声をかけてくれるとうれしいです
パイロットとして働く私たち
◇なかなか手に入らなかった二つのこと。
動く「自由」と、働ける「喜び」
・くわさん パイロット歴4年
進行性の筋ジストロフィー症で、小学生のころまでは歩くことができていたのに、中学生のときには歩けなくなっていました。30代半ばで人工呼吸器が外せなくなり、今では指先と顔が少し動かせるだけ。印刷会社の版下の文字データを打つ仕事に就いたこともありますが、障害者雇用はフルタイム勤務の募集が多く、長時間の作業は体力的に厳しくなり、退社しました。その後、コロナ禍の影響で出かける機会が極端に減ってしまいました。
そんなこともあり、分身ロボットの仕事についたときは、ぱぁっと世界が広がったと感じました。その場にいなくても活躍できる自由が本当にうれしく、感動しました。
そして、この活動を続ける私を支えるひとつの言葉があります。「将来は分身ロボットになりたい」。これは、福祉のイベントで、障害を持つ小さな女の子からもらった言葉です。お母さんと来てくれたその子の将来の夢が、その日から分身ロボットになりました。意味のある活動であることを、改めて感じた瞬間でした。

◇働くことと車いすがつながらなかった。
でも、今は「手段を変えること」を知った
・まろさん パイロット歴1年
高校1年のときに神経性の疾患を発症し、しだいに階段を使うときの体の動きが難しくなりました。さまざまな仕事を考えましたが、実際に車いすで働くことのイメージができませんでした。
大学生のときにつくば市での実証実験の研修生として初めて分身ロボットのパイロット操作をしたことが、今の仕事につながっています。今は、大学の研究生として心理学を学び、この仕事は実践的な臨床分野の面から見てもとてもいい経験になっていると感じます。例えば、自身を振り返ると「何かしたいという気持ちが強いのかなあ」とか。
車いす生活になってしまった当初は、できないことに対して一生懸命になる自分がいましたが、分身ロボットの仕事を始めてから「こういう手段にすればできる」と考える方向が変わって、人との関わりが大きく広がるようになりました。コロナ禍と病気の悪化が重なったこともあり、関わることの大切さをより強く感じました。
自治体は多様な人とさまざまな関わり方をしていますから、分身ロボットの活躍が少しずつ広がっていってほしいです。

◇障害とは何か、自分の中にもまだ答えがない。
でも、それぞれが考えてくれるとうれしい
・ことのはさん パイロット歴3年
うつ病の影響で、5~6年前から満員電車など人ごみにいるとめまいが起こることが多くなりました。偏頭痛の症状もありますが、不安障害も併発しています。症状がひどくなるにつれて「自分が働ける場所がない」と思っていたところ、分身パイロットの求人を見つけました。
初めの研修で「無理をしない」「体調第一」「何かあったらサポートする」「サポートに気を遣わない」という話がありました。今も話しているときには気づかないけれど、急にガクッと疲れがくることがあって、そういったときに気兼ねなくカバーし合える環境というのは本当に助かります。今では先輩パイロットとして新人パイロットの研修をさせていただくこともあります。
この仕事をきっかけに障害平等研修のファシリテーターなど仲間と自分の特性を生かした活動をしています。障害がどこにあって、それが何なのか。障害者のことももっと知ってもらいたいし、知らないことが恐れにつながっていることも多いので、これからも「お互いを知る」活動を続けていきたいです。

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