■菌が原因となる食中毒は、夏に多く発生しています。食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で、増殖のスピードが最も速くなります。また、細菌の多くは湿気を好むため、気温と湿度が高くなる梅雨時には、細菌による食中毒が増えます。
一方、低温や乾燥した環境で長く生存するウイルスが原因となる食中毒は冬(11月~3月)に多く発生しています。ノロウイルスによる食中毒は、大規模化することが多く、年間の食中毒患者の5割以上を占めています。
細菌やウイルスによる食中毒を防ぐために、食中毒予防3原則である「付けない、増やさない、やっつける」を守りましょう。
■家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
ポイント1 食品の購入
・購入したらすぐ冷蔵庫に入れる
・保冷剤を使用して運ぶ
ポイント2 家庭での保存
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下を維持する
・消費期限を守る
ポイント3 調理の下準備
・こまめに手を洗う
・肉、魚は、生で食べる食品から離して調理する
・野菜はよく洗ってから使う
・包丁やまな板などの器具、ふきんは洗って消毒する
ポイント4 調理
・十分に加熱する(中心部分75℃で1分間以上)
・調理途中や調理済みのものは冷蔵庫で保管する
ポイント5 食事
・食べる前に手を洗う
・清潔な食器を使う
・長時間常温に放置しない
ポイント6 残った食品
・温めなおす時は75℃以上で十分に加熱する
・調理してから時間が経ち、少しでも傷みが疑われる食品は処分する
■食中毒の原因となる細菌・ウイルス・寄生虫
◇腸管出血性大腸菌
牛や豚などの家畜の腸の中にいる、病原大腸菌の1つです。代表的なものとして、O157やO111があります。生の肉や、加熱不十分な肉を食べることによって、食中毒を発症します。
◇カンピロバクター
牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌です。この細菌が付着した肉を、生で食べたり、加熱不十分で食べたりすることによって、食中毒を発症します。
◇ウエルシュ菌
人・動物の腸管や、土壌などに広く生息する細菌です。酸素のないところで増殖し、芽胞をつくるのが特徴です。煮込み料理が原因食品となることが多いです。加熱調理した食品の冷却は速やかに行い、室温で長時間放置しないようにしましょう。
◇寄生虫(アニサキス)
サバ、アジなどの魚介類に寄生します。形は、白色の少し太い糸のように見えます。寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍または加熱のものを含む)で食べると、激しい腹痛や吐き気、おう吐などの食中毒症状を引き起こすことがあります。
◇ノロウイルス
ノロウイルスに汚染された二枚貝などの食品を、十分加熱しないまま食べたり、汚染された井戸水などを飲んだりして感染するほか、感染した人の手や唾液、ふん便、おう吐物などを介して二次感染する場合もあります。口から体内に入り、腸の中で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを引き起こします。
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