◆こんなこともやってるって知ってましたか?スカイツリーでの雷観測
◇教えてくれたのは…
一般財団法人 電力中央研究所
工藤 亜美さん
スカイツリーは電波塔や展望施設以外に、様々な研究機関の研究拠点としての役割もあるのを知っていましたか?今回はその中の1つ、電力中央研究所が設置している「雷観測拠点」を取材しました。
◇雷観測の始まり
雷は、突然落ちたかと思うとすぐに消えてしまうため、観測するのがとても難しいものです。そんな雷をなんとか直接観測したいと考えていた電力中央研究所が、継続してたくさんの雷を観測できる場所を探していたときに、墨田区にスカイツリーの建設が決まりました。スカイツリーは非常に高い建物なので、雷がたくさん落ちるのではと考え、スカイツリーの協力を得て、スカイツリーの建設と合わせて観測装置を設置し、データの収集を始めました。
◇実はここに観測装置が!
観測装置は、スカイツリーの高さ497メートル地点と地上の西鼎(かなえ)・東鼎(西側と東側の足元)部分の3か所に設置されています。
497メートル地点ではゲイン塔(アンテナ設置用の塔)を、西鼎・東鼎部分では鉄骨の1本を囲うように設置されています。
ここにある「ロゴスキーコイル」という装置で、スカイツリーに落ちた雷の電流の大きさなどを計測し、高さ300メートル付近にある観測室にデータを送っています。雷はいつ落ちるか分からないため、24時間毎日観測装置を動かし続け、常にデータを集めているそうです。
ほかにも、スカイツリー周辺では高速度カメラを使って、スカイツリーに落ちた雷を映像でも観測しています。どちらも雷が落ちる場所にピンポイントで設置しないとデータが取れないので、雷が落ちやすいスカイツリーは絶好の観測場所と言えるでしょう。
◇雷の落ち方は様々!
スカイツリーの頂上には避雷針があるため、近くに落ちる雷を引き寄せる力がありますが、まれにスカイツリーの側面に落ちる雷もあると聞き、驚きました。思ったとおりに落ちてこないのが、雷観測の難しくて面白いところなんだそうです。ちなみに、もしスカイツリーに雷が落ちても、中にいる人は安全で、これまで被害が起きたこともないそうなので、安心してください!
◇観測データの使い道
収集したデータは今後、送電線などの大きな電力設備や家庭の電化製品といった、様々な電気にまつわる物への雷の被害や影響を測ったり、停電を起こさないようにしたり、屋外にいる人への被害を防いだりと、私たちの暮らしの安心に広く役立てられることが期待されています。雷観測拠点としてのスカイツリーの役割、ぜひ知っておいてください!
◆すみだの安全・安心にも役立ってます!防災拠点としての機能
◇教えてくれたのは…
墨田区防災課
工藤 かん奈さん
スカイツリーは、その高さと墨田区の真ん中に位置しているという特徴から、墨田区全体の防災力を高めるための拠点としての機能も2つ備えています。
◇災害時には区の代替拠点に
1つは、スカイツリータウン内にある「タワー危機管理ベース」です。ここには、防災行政無線室と区の備蓄倉庫があります。
防災行政無線室は、災害時に区役所内の防災センターが使えなくなってしまった場合に、代わりに区の災害対策本部を設置するための施設で、非常時には大きな役割を果たします。
また、備蓄倉庫には約3,000人分の食料や飲料水が備えられていて、これらは災害時に観光客や電車を利用する人が帰宅困難者となってしまった場合、一時的にスカイツリータウン内に滞在するときに配られます。
◇すみだの隅まで見渡せるカメラが!
もう1つは、スカイツリーの高さ260メートル地点に設置された「高所防災カメラ」です。
このカメラは、災害時に区内の被害状況を把握するために設置されています。タワーの東側と西側に1台ずつ配置されていて、100倍くらいまでズームできるため、区全域を見渡せるようになっています。また、区役所内の防災センターから操作できるようにもなっていて、撮影した映像は消防やほかの自治体にも提供しています。このため、もし災害が起きたときには、区役所からこのカメラを操作して区の全域を確認し、集めた情報を消防やほかの自治体と共有することで、迅速に区内の状況を把握して災害に対応できるようになっています。
◇スカイツリーで〝安全・安心なまち〟に
墨田区は、スカイツリーと協力した取組を通じて、災害に強いまちづくりをめざしているそうです。地域の防災拠点としても重要な役割をもつスカイツリーの顔を知ると、さらにスカイツリーが身近に感じられるのではないでしょうか。
◆施設情報
所在地:押上一丁目1番2号
営業時間:
・月曜日から土曜日まで…午前10時から午後10時まで
・日曜日・祝休日…午前9時から午後10時まで
*いずれも最終入場は午後9時まで
*時期により変更となる場合あり
*入場料等の詳細は東京スカイツリーHPを参照
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