今年度は以下の2名を認定しました。
■〔箔押加工〕渡辺(わたなべ)繁(しげる)さん
(有)繁光堂箔押印刷(赤城下町48)
▼経験で技術を育む箔押の達人
昭和35年生まれ。祖父の代から始まった箔押業に46年間従事されている渡辺さん。箔押は、金箔や銀箔等のフィルム状の箔に熱と圧力をかけ、転写する加工方法です。
渡辺さんが箔押で主に使用するのが、一枚一枚を手差しで加工する半自動箔押機です。デザインや印刷する素材(紙・皮等)に合わせた温度や圧力の細やかな調節には、長年の経験で培った技が光ります。範囲の広い箔押や薄い紙への転写など難しいとされる加工でも、顧客の要望を聞き取りつつ細かい調整を繰り返し、要望どおりに仕上げることができます。それは、「手仕事」というアナログ作業でありながらも、デジタル機器をはるかに上回る精密さを生み出す、渡辺さんの技術ならではといえます。
「技術を得るにはひたすら経験あるのみです」と語る渡辺さんは、自らの技術に満足することはありません。現在も経験を積み重ね、箔押の表現の幅を広げ続けることで、デザインや商品開発・販売に関わる多くの顧客から絶大な信頼が寄せられています。
現在は、4代目となる息子さんをはじめとした後輩技術者の育成にも力を入れています。また、同業他社との勉強会で講師を担当されたり、海外でも箔押加工の指導をするなど、箔押の技術のほか、箔押がもつ魅力をも伝え続けています。
■〔洋生菓子製造〕堀江(ほりえ)新(しん)さん
(有)パティスリー ラ・ヴィ・ドゥース(愛住町23-14、ベルックス新宿ビル1階)
▼素材を生かした本場仕込みの菓子を提供
昭和42年生まれ。日本料理の料理人を目指して調理学校で学ぶなか、偶然洋菓子のおいしさと美しさに出会い、パティシエの道へ進んだ堀江さん。葉山や銀座の名店で修行を積んだ後にフランスへ渡り、本場の製菓技術を学び帰国。平成13年に独立して、新宿区曙橋で現店舗を開店しました。
フランス菓子の伝統と技術を基礎に、「親しみやすく、多くの人に愛される味を」と作り続けた菓子で、オープン当初から多くのファンを魅了しています。
菓子作りでのこだわりは、「素材をいかに生かすか」。余計なものを省き、素材の風味を最大限に生かす方法を考え、日々菓子作りに取り組んでいます。そのこだわりを代表するのが、店の一番人気で、フランスの製菓コンクール「シャルル・プルースト」でグランプリを獲得したケーキ「ラ・ヴィ・バッカス」。ミルクチョコレートやオレンジ等の素材の風味が際立つよう、洋酒等で細やかな調整を行っているのだとか。
また、活躍の場は飴細工やチョコレート細工、氷細工などの国際コンクールにも広がり、数々の大会で優勝を果たされました。
現在は、作業一つ一つへの意識の向け方にもアドバイスするなど、後進の指導にもあたっています。近年は、原材料へのフェアトレード製品の使用や、従業員の働き方改革への取り組みなど、菓子を食べる人だけでなく、作る人も幸せになれるよう心がけているそうです。
・令和5年度までに認定された新宿ものづくりマイスター「技の名匠(R)」を新宿区ホームページでご紹介しています
・「技の名匠(R)」紹介冊子でもご紹介しています
問合せ:産業振興課産業振興係
【電話】3344-0701
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