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自治体の皆さまへ

特集「すぎなみビト」(2)

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東京都杉並区

■支えることができて良かったと思う瞬間がある
Q:保護司をやっていて良かったと思う出来事があれば、ぜひ教えてください。
城石:対象者が更生しようと一生懸命仕事を頑張っている中、過去の金銭問題が浮上して、せっかく何年も頑張ってきたのに挫けそうになったことがありました。もし挫折したら、彼のそれまでの努力は無駄に終わってしまう。再犯させないためにも、なんとかしなければ。その一心で、自棄になりそうな彼をなんとか落ち着かせ、さまざまな専門家にアドバイスを仰ぎ、伝え続けました。何カ月もかかりましたが、どうにか解決の糸口が見つかり、本人も前を向けたときはとても嬉しかったし、サポートできて良かったと思いました。

最上:そういうときは本当に安心しますよね。私は長く保護観察を担当した女性に、なんとか子どもたちと安心して暮らせる家を確保してほしいと、いろいろな福祉の窓口にかけ合ってつないだことがあります。これで子どもたちがきちんと学校へ通える、勉強できる。そう思えたときは力を尽くして良かったと感じました。一人の子どもが大学生になったと聞いたときは、「ああ、きっと彼女の生きる力になるな」と思えて嬉しかったです。

Q:ご自身にとって気づきや学びにつながると感じる部分もありますか?
平尾:自分自身の考え方、人に対する接し方は、保護司を経験して変わったと実感します。少年たちと接していると、彼らは小さいときから叱られる人生を多く送ってきたことが分かる。だからこそ、自分は保護司として寛容に、優しさを持って、良いところを掘り出していこうと思うようになりました。そのような考え方は、保護司を経験しなければ持てなかったように思います。

■なり手不足の解消と地域の連携強化が今後の課題
Q:今後の課題、力を注ぎたいことなどをお聞かせください。
平尾:保護司の高齢化が進み、なり手不足が深刻になっている今、とにかく次世代に引き継いでいくことが喫緊の課題です。当然ながら、誰でも良いという役割ではないので、適任者を見極めるための仕組みづくりも必要です。また、再犯防止や更生を目指す上では、やはり専門的な機関にもっとつないでいくことも大切ではないでしょうか。

最上:以前は保護司といえばひっそりと、個人で対象者と向き合うのが一般的でした。でも今は「地域の中で」という方向に向かっています。更生保護サポートセンターが、さまざまな福祉の窓口が備わったウェルファーム杉並に移ったことにも、大きな意味があると思っています。

城石:行政との連携をスムーズに、より深めていくことで、更生サポートに関わるさまざまなアドバイスが受けられるようになっていくのが理想ですね。

平尾:日本で培われてきた保護司制度は今、国際的にも注目されていて、フィリピンやケニアなど海外にも広がりつつあります。犯罪・非行をした人たちが地域の中で更生していくために、同じ地域に暮らす者である保護司が関わり、一緒に考えて、支えていくことはやはり不可欠です。

最上:この機会に、多くの人に関心を持っていただけると嬉しいです。

■気になる!?~保護司ってどんな活動をしているの?
保護観察処分となった人が、再び地域の中で仕事をしたり、学校へ通ったりと、社会の一員として生きていく手助けをしているほか、定期的に面接し、話し合うことで生活状況を確認し、必要な助言をしています。また、犯罪予防活動をすることで、安心で住みやすい地域づくりに貢献しています。

◇保護観察~生活状況の見守り
更生保護の中心となる活動で、犯罪・非行をした人と定期的に面接し、更生を図るための約束事を守るよう指導したり、生活上の助言・就労支援などを行います。

◇生活環境調整~社会復帰のサポート
少年院・刑務所に収容されている人が、仮釈放後スムーズに社会復帰を果たせるよう、帰住先の調査・引受人との話し合い・就職先の確保などを行います。

◇犯罪予防活動~地域の方への理解啓発
犯罪・非行をした人の改善更生について地域社会の理解を求め、犯罪・非行を未然に防ぐために、「社会を明るくする運動」などを通じて講演会・住民説明会などを行います。

■7月は「社会を明るくする運動」強調月間・再発防止啓発月間!
本紙13面へ

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