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【特集】「すぎなみビト」翻訳家 小宮由(2)

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東京都杉並区

■家庭文庫「このあの文庫」に込めた思いとは
─「このあの文庫」を開いた背景にはどのような思いがありますか?
先ほど、喜びは伝えたくなると話しましたが、まさに「『この』本を読んだ喜びを、目の前の『あの』子に伝えたい」という思いを込めて名付けたのが「このあの文庫」です。子どもにも大人にも楽しい本を、図書館や書店以外で伝えられる場所がほしいと考えて開きました。何もしなくても目に入ってくる情報とは違い、読書というのは能動的な行為ですから、本と出会うことに少しだけ子どもの背中を押してあげられたらと思っています。

─「このあの文庫」はどんな家庭文庫ですか?
自宅の1階の部屋を文庫専用の部屋にして、約2500冊の本を並べています。土曜日の午後2時から5時まで開いていて、就学前の子どもから小学生を中心に、数は少ないけれど中学生が来ることも。本ばかりだと飽きてしまう子もいるので、折り紙や工作を織り交ぜながら、読み聞かせも行っています。

─子どもたちにとってどんな場所でありたいと考えていますか?
「このあの文庫」では大人と子どもという垣根はなく、「本が好きな僕」と「本が好きなあなた」という対等な関係性。子どもたちが、その子らしくいられる場所でありたいなと思っています。学校に行くのがしんどいと感じていた子のお母さんが「この場所があって本当に良かったです」と話してくれたこともありました。子どもたちが自由な気持ちで心地いいと感じてくれていたら嬉しいです。

─今年で20周年を迎える「このあの文庫」。今後の目標などはありますか?
初めて文庫に来てくれた子が小学校5年生の男の子だったので、その子がもう30歳を超えていると思うと感慨深いですね。20周年にあたって、記念のリーフレットを作って、文庫に通ってくれていた子どもたちに送ってみようかな、なんてことも考えています。20年前に文庫を開くと決めたとき、尊敬する翻訳家であり、素晴らしい家庭文庫を主宰していた間崎ルリ子さんに「やるからには続けなさい」という言葉をいただきました。いろいろとやってみたいことは理想として持ちつつ、無理をせずに僕自身が楽しみながら、そして地域のいろんな人を巻き込んで、この場所を続けていくことを大切にしていきたいです。

■小宮さんおすすめBOOKS!
◆絵本は大人に読んでもらうもの!
絵本は、声に出して読むために作られているものがほとんどです。ここでは僕が作った本で、ぜひ子どもたちに読んであげてほしい本を紹介します!

▽テディ・ロビンソンのたんじょう日
ジョーン・G・ロビンソン 作・絵
岩波書店 発行
POINT!:くまのぬいぐるみと女の子のゆかいなお話。大人も楽しめること請け合いです。

▽うみべのおはなし3にんぐみ
ジェイムズ・マーシャル 作
大日本図書 発行
POINT!:3人の子どもたちがお話を作って聞かせ合います。絵本から読み物への移行期の子に。

▽アーノルド・ローベルの へんてこな とりたち
アーノルド・ローベル 作
好学社 発行
POINT!:「がまくんとかえるくん」の作者が描くへんてこな鳥の世界。読めば絵を描きたくなる?

▽チビにいちゃんとO(オー)ちゃん
エディス=ウンネルスタッド 文
さこ ももみ 絵
瑞雲舎 発行
POINT!:5歳の男の子のヒヤヒヤ・ワクワクの冒険。物語の中でこそ、現実ではできない経験を!

■地域・家庭文庫とは?
地域の居場所にも!
地域・家庭文庫では、自宅などを開放して、地域の子どもたちなどに家庭的な空間の中で読書の場を提供しています。また、図書の閲覧・貸し出しだけでなく、読み聞かせや人形劇など、それぞれの文庫でさまざまな文化活動も行っています。区では、地域・家庭文庫へ図書を貸与するなど、活動を支援しています。詳細は、中央図書館ホームページをご覧ください。

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