■「少子化への対応」「安全・安心なまち」「SDGsの推進」三つの視点からさらなる発展を
令和5年第4回江戸川区議会定例会が、11月21日から12月8日までの会期で開催されました。本会議冒頭に行われた斉藤区長の招集あいさつを紹介します。
記録的な暑さに見舞われた11月も半ばを過ぎ、ようやく冬の訪れを感じるようになりました。
振り返れば半年前、新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類へと移行しました。それ以降、社会・経済活動は少しずつ元の姿を取り戻してきました。
今年は「4年ぶり」という言葉が特別な意味を持ち、新語・流行語大賞にもノミネートされました。本区でも、春以降の地域でのイベントや夏の花火大会、そして5年ぶりに開催された区民まつりなど、地域の皆さまが集まり、笑顔を交わす機会が区内各所で復活しています。
さらに今月3日には、区ゆかりの児童文学作家、角野栄子さんの世界観を体験することができる「魔法の文学館」もオープンし、大きな話題を呼んでいるところです。
なぎさ公園の丘の風景と一体となった文学館は、入る前から物語の世界へといざなってくれます。今後もますます区内に、にぎわいが生まれてくるものと期待しています。
そうした盛り上がりをさらなる発展につなげていくためにも、今後区が行う施策について三つの視点からご紹介をいたします。
◇幅広い世代の声を聴き少子化への対応を推進
まず一つ目は、「少子化への対応」です。
本区では今年度、少子化に対する施策を「えどがわ50の子育てプラン」として取りまとめ、集中的に展開しています。すでにそのうちの9割以上の施策が実現に至っています。
特に給食費については、今年9月、区立小・中学校や幼稚園、認定こども園で無償化し、10月には保育ママでも無償で給食の提供を開始したところです。そして今回は、その対象になっていなかった盲学校、ろう学校を含む国公立の特別支援学校に通学する児童・生徒についても、区立小・中学校の給食費と同額を、今年の9月にさかのぼって補助します。引き続き「食」の面から子どもの健やかな成長を支援するとともに、子育て世帯の経済的な負担の軽減を図ってまいります。
また、こうした施策と併せて現在、「未来を担う子どものための区民基礎調査」を実施しています。これは当事者である子ども・若者や保護者はもちろん、シニア世代や子育ての経験のない方も対象としたアンケート調査です。幅広く少子化や子どもに対する考えをお伺いし、頂いた声は今後の少子化への対応や子育て施策に役立てていきたいと考えています。
現在進めている「えどがわ50の子育てプラン」についても、この調査結果や今後の財政状況を踏まえながら、単年度ごとに検証を行い、より実効性をもって展開してまいります。
◇集合住宅での防犯カメラ実証実験
二つ目は「安全・安心なまち」です。
コロナ禍からの回復により社会・経済活動が活発化している反面、今年の区内の刑法犯認知件数、特に自転車盗難の件数は昨年を大幅に上回るペースで増加しています。
被害状況を分析すると、特にマンションやアパートなど集合住宅での被害が約半数を占めることが分かります。しかも、夜間から早朝という人の目が少ない時間帯に多く発生しています。
そこで本区では「集合住宅における防犯カメラ設置の実証実験」を行います。現在、公道に向けた防犯カメラに対しては設置のための補助制度がありますが、私有地に向けたものは補助の対象外となっています。
ついては自転車盗難の被害が多い区内の集合住宅10カ所にご協力をいただき、防犯カメラ計80台を設置して、私有地における効果を検証してまいります。
防犯カメラは時間帯を問わず犯罪抑止の効果が期待でき、また実際に被害が発生した際には捜査の助けにもなるものです。今回の実証実験の結果をもとに、今後の対策に生かしてまいります。
◇24時間利用可能なAEDを増やすために
また、「いざという時の人命救助」という観点から、「区立施設に設置してあるAEDの屋外化」にも取り組みます。AEDとは、突然、心停止を起こした方の命を救うための医療機器です。現在、学校や保育園を含む区立施設、警察署、消防署、民間施設など、区内1100カ所以上に設置されています。しかし、ほとんどが屋内に設置されているため、使用できるのは施設が開館している時間帯に限られます。24時間通して確実に使用できるものは、区内に50カ所しかありません。
そこで、今年度は区立施設128カ所、来年度は100カ所以上のAEDを屋外へ移設します。これにより全ての区立小・中学校をはじめ、設置可能な施設において屋外化が進み、機器の利用環境が整います。大切な命が助かる可能性を1パーセントでも高められるよう、集中的に取り組んでまいります。
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