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健康コラム「だれもが自然と健康になれるまち」

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東京都江戸川区 クリエイティブ・コモンズ

■第3回スポーツと社会参加で健康に
千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センターの飯田英和です。第3回目の今回は、健康とスポーツ、そして社会参加の重要性についてお話しします。

江戸川区は、スポーツを楽しむための環境が整備され、非常にスポーツが盛んな地域です。前回もご紹介した通り、江戸川区は東京23区内で最も広い公園面積を誇り、さらにスポーツセンターや総合体育館など、さまざまなスポーツ施設も充実しています。また、区ホームページでは「Sports for Everyone」というスポーツ情報検索サイトを開設しており、区内でできるスポーツを簡単に検索することができます。さらに、区内在住の辻内彩野選手が、パリ2024パラリンピックの水泳女子100メートル自由形で銅メダルを獲得するという快挙もありました。(今大会では、江戸川区ゆかりのアスリートがオリンピックに5人、パラリンピックに4人出場しています)(注1)。

◇運動やスポーツが盛んな地域に住むことによる良い影響
運動やスポーツが盛んな地域に住むだけで、住民の健康や寿命に良い影響を与えることが分かっています。日本国内の9市町村、約4.3万人の高齢者を最長7年間にわたって追跡調査したデータによると、運動・スポーツグループに参加している高齢者が1割増加するだけで、その地域全体の高齢者における全死亡率とがん死亡率が11%低下することが示されています(注2)。

◇スポーツによる健康への効果をさらに高める方法
スポーツをすることで体力向上や循環機能、認知機能が維持され、健康に良い影響を与えますが、さらに効果を高める方法があります。それは、グループでスポーツを行うことです。
日本の調査で、週1回以上スポーツをしている約1万3,000人を4年間追跡した結果、組織に参加せずスポーツをしている人は、組織に参加している人と比較して、要介護リスクが1.29倍高いことがわかりました(組織に参加してスポーツをしている人は要介護になるリスクが低い)(注3)。このデータは、社会的なつながりが健康に良い影響を及ぼしていることを示唆しています。このように、社会的なつながりを持つことが健康に良い影響を与えるという研究結果は、近年ますます多く報告されています。
たとえば、役割を持って社会参加している男性は、そうでない男性と比べてうつ病を発症するリスクが7分の1であることがわかっています(注4)。さらに、地域で役割を持つ高齢者は、死亡率が12%低下し、長生きしやすいことも示されています(注5)。また、趣味活動をする高齢者は認知症のリスクが低いことが知られていますが、これをグループで行うことで、認知症のリスクがさらに19%低下するというデータもあります(日本の高齢者約5万人を対象にした6年間の追跡調査より)(注6)。
江戸川区では、ラジオ体操の普及にも力を入れており、皆でラジオ体操を行い、地域の方々との交流を深めることは健康につながるでしょう。区では毎年ラジオ体操大会を実施しているので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか(注7)。

千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター 飯田英和 特任講師

▽参考文献
(注1)江戸川区ホームページ(アスリート情報)
(注2)Tsuji T,Okada E,etal.IntJ Behav Nutr Phys Act.2024
(注3)Kanamori S,Kai Y,KondoK.,etal.PLoSOne.2012
(注4)TakagiD,KondoK,KawachiI,BMCPublicHealth.2013
(注5)IshikawaY,KondoN,KondoK,etal.BMCPublicHealth.2016
(注6)LINGLING,TaishiTsuji,etal.PreventiveMedicine.202
(注7)江戸川区ホームページ(江戸川区ではラジオ体操の普及・啓発に取り組んでいます)

◇リズム運動(江戸川区独自)
社交ダンスのステップを基本とした軽運動で、40年以上も区内の高齢者の方に親しまれています。詳しくは区ホームページをご覧ください。

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