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自治体の皆さまへ

区長室(1)

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東京都江戸川区 クリエイティブ・コモンズ

■現代を生きる世代の責任を果たし 夢と希望のタスキを将来世代に
令和6年第2回江戸川区議会定例会が、6月12日から28日までの会期で開催されました。本会議冒頭に行われた斉藤区長の招集あいさつを紹介します。

◇「人口減少社会」の到来に日本全体が危機感
はじめに、今年の4月、民間有識者で構成される「人口戦略会議」が全国市区町村の人口の動きを分析し、大きな警鐘を鳴らしました。そこには人口減少が著しい「消滅可能性自治体」や、出生率が低く人口増加を他の地域からの流入に頼る「ブラックホール型自治体」などが記され、自治体関係者のみならず、多くの方が危機感を抱いたことと思います。

報告書の中で本区は、東京23区の約7割が指摘された「ブラックホール型自治体」には該当しませんでしたが、死亡の数が出生の数を上回る「自然減」への対策が必要な自治体とされました。

この発表の直後、とある新聞では「2100年は今年生まれた赤ちゃんが76歳になる年。遠い将来の話ではなく対策を先延ばしにする余裕もない」と論じられ、また他の新聞には「行政サービスもインフラも、人口減少に併せて作り変えねば社会がもたない。どんなアクションを起こすのか、一人ひとりに投げかけられた問いでもある」との論評が載りました。

◇人口減少への備えと緩和両輪で取り組む
このたびの発表や報道を受けて、これはまさしく本区が数年にわたり投げかけてきたテーマそのものであると感じております。日本全体が今後向き合っていく問題について、かねてより区民の皆さま、区議会議員の皆さまに、人口をはじめとした将来推計をお示しし、広く意見を伺ってまいりました。

その一連の流れで、令和3年度に「ともに生きるまちを目指す条例」を制定。4年度には共生社会ビジョンを、そして5年度にはビジョンの実現に向けたアクションプランを策定してまいりました。

これまでも申し上げておりますが、これからはいよいよ、その実践に軸足を移す時であります。これは決して「人口減少の最大のリスク」に備え、今の行政サービスの内容を見直すという話だけではありません。一見すると正反対で矛盾しているように見えますが、「人口減少のリスク」に反する、つまり出生の数の増加によって人口減少を食い止める取り組みにも果敢に挑戦していく必要があります。双方を同時に進めることで現代を生きる世代の責任を果たし、夢と希望を込めたタスキを将来世代にしっかりとつないでいく考えであります。

そのために現在、本区の事務事業や公共施設の在り方について、社会状況やニーズに合うよう、そして行政サービスが将来にわたり持続可能なものとなるよう総点検を行っています。見直すべきものは見直し、踏み出すべき部分については策を講じるなど、目指す方向性を整理した後、区民の皆さまや区議会議員の皆さまにお示しし、広くご意見を伺っていきたいと考えております。

◇子育てするなら江戸川区子どもの健やかな成長のために
さて、こうした将来を見据えた取り組みを進めていく一方で、目の前の課題にも積極的に対応していかなければなりません。

その一つが「子育て世帯のニーズに応える保育施設の整備」です。本区はこれまでも保育の定員数を順次拡大し、令和4年度以降、待機児童の数はゼロになっています。一方で、保護者の就労状況の変化とともに、認可保育施設の入園申込数は年々増加し、今後もその傾向は継続していくものと考えています。そこで今回、私立保育園の施設整備に係る助成に改めて着手し、保育環境のさらなる充実に努めてまいります。

これらに加えて、子どもたちが希望を持って健やかに成長していくための支援も大切です。

その一つが「学びの場の充実」です。本区はこれまでも、日々の基礎的な学習内容が身に付くよう、きめ細やかな支援を行う「小・中学校放課後補習教室」や、やむを得ず登校することが難しい児童・生徒に向けた「学校サポート教室」など、個々の状況に応じた支援を行ってまいりました。

今回これらに加えて、学ぶ意欲のある中学生が、さらにその学力を伸ばしていくための取り組みを開始します。その一つとして、成績が良好であるがご家庭の事情などにより塾へ通うことが難しい3年生に、より充実した学びの機会を提供する「EDO塾」を地域の図書館を活用して始めます。また、共育プラザでは学年に関係なく学習支援を受けられる場として、「EDO学舎」を新たに設けます。これらの事業を通じて、通っている学校と連携を図り、日々の指導に生かしてまいります。

次に、鈴木「青少年の翼」基金条例の制定です。条例の名称に名前を入れさせていただきました鈴木孝行氏は、これまでも本区に多額の寄付をしていただいております。加えて今回、3億円もの寄付を、中高生を海外に派遣する「青少年の翼」事業に頂戴しました。

その際には「子どもたちが若いうちから広い世界に目を向け、これからの人生に大きな夢を持ってもらいたい」との思いをお伺いしました。このたびいただいた寄付を元に新しく基金を設立し、鈴木孝行氏の青少年育成に対する真っすぐで熱い思いを、事業を通じて届けてまいります。

これらは総じて、子どもの成長を社会全体で育む取り組みです。その子どもたちが進む道は人それぞれに異なりますが、いざ進みたい道が見えてきたときに、夢と希望を胸に安心してチャレンジすることができるよう、しっかりとした土台づくりに力を注いでまいります。

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