◆あらゆる現場で適切な対応が取れるように訓練を重ねていく
◇訓練はどのくらいの頻度で行なっていますか?
西田:多い時は週3回、平日の夜や土日などに行なっています。主に、毎年、渋谷区で開催される消防操法大会に向けて訓練をします。出火を想定して、消火までの時間や型の正確さを競う大会なので、チームワークが非常に大切です。また、団員はそれぞれ生活があり、消防団の活動に割ける時間が限られていますから、貴重な時間を無駄にしないように一生懸命に訓練しつつ、楽しみながら取り組むことを心掛けています。
◇消防団の活動の中で、どのようなところにやりがいを感じますか?
小嶋:防災や救命活動の知識・技術を習得できるところと、地域の人たちとの交流が増えることです。第4分団は、道路をお借りして訓練しているのですが、地域の人たちからあいさつされたり、応援していただいたりすることが、とても励みになっています。
◇これまで活動されてきた中で、強く印象に残っていることはありますか?
西田:8年前、第4分団の元分団長が亡くなった時のことです。お通夜と告別式、両日とも大きな火災が発生したんです。その時、団員たちは喪服で式に参加していましたが、すぐさま消防服に着替えて出動しました。無事に消火活動が終わった後、みんなが「防火の虎さん(元分団長)が見守ってくれたんだね」と、受け止めたことが印象深かったですね。
熊谷:西田さんのお話にもあった元分団長が亡くなった翌年、「消防操法大会で優勝しようよ」と、みんなで話したんです。頑張って訓練したのですが、残念ながらその年は優勝できませんでした。この時、とても悔しかったことが印象深く残っています。でも、その悔しさをバネにして、今年6月の渋谷消防団消防操法大会では優勝することができました。
松野:火災現場に向かい、鎮火した後に消防職員の許可のもとで火災状況を見せていただいたことがあります。中でも印象深かったのは、残火処理をした時でした。鳶口(とびぐち)※2を使って焼けた家財をめくり、火が残っていないかを確認しながら水を掛けるのですが、どのような原因で火災が発生したかを知る貴重な機会になりました。
吉川:消防団に入ると、心肺蘇生や応急手当などを学ぶ上級救命講習を受けます。入団してから数年後のある日、仕事に向かうバスに乗っていた時に、車内にいた人が突然倒れてしまいました。私は講習で教わったように、その人の意識や呼吸を確認したのですが、本人の意思を確認せずに無理に体を動かしてしまったんです。いざという時、躊躇(ちゅうちょ)せずに行動することは大事ですが、現場で実践することの難しさを実感しました。消防団員として、日頃からさらに練習に取り組もうと思いました。
※2 柄の長い木製の棒の先端に、トビのくちばしのような鉄製のかぎを付けたもの。消火活動の際に建物の窓ガラスを壊したり、燃えてしまったものを動かしたりする時に使用する。
◆ハザードマップを確認し、食料品の備蓄や避難準備をしてほしい
◇区民の皆さんに、防災のために心掛けてほしいことはありますか?
吉川:日頃から備蓄をして、ご自宅で避難できるための準備を心掛けてください。また台風のシーズンは、特に風水害が増えますので、お住まいの地域のハザードマップも確認しておいていただきたいです。どこが危険な地域か、最寄りの避難所はどこかといったことを知っているだけでも、安全対策を取りやすくなります。
松野:自宅に消火器は設置してあるか、あるいは一番近い場所に設置してある消火器がどこにあるのか、確認してみてください。それから、近所の人と普段から交流し、有事の際に声を掛け合えるようにしておくことは、防災の大きな一歩につながります。
◇区民の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
西田:私たちは消防団として渋谷区を守っていきますので、みんなで街を盛り上げていけるとうれしいです。
吉川:私は地域の活動をする前は、地元の人たちのことを全く知りませんでした。やはり知っている人がいるといないとでは、日々暮らす中で心の豊かさが大きく違うと実感しています。皆さんが楽しく安心して暮らせるように、消防団がより身近な存在になっていけたらいいなと思います。街中で私たちを見かけたら、気軽に声を掛けてください。
松野:消防団員が増えることによって、地域の力が増すと思います。もし、消防団の活動に興味がある人、または身近に推薦したい人がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご連絡ください。区在住・在勤・在学の18歳以上の健康な方であれば入団できます。
小嶋:防災は、普段からの心構えが重要です。皆さん、できる範囲で構いませんので、食料品の備蓄やハザードマップを確認しておいてください。いざという時に落ち着いて行動できると思います。
熊谷:防災だけではなく、救命活動にも意識を向けていただけるとうれしいです。近くにいる人が急に倒れた時など、少しでも早く対応できると助かる確率が高まります。ぜひ、調べてみてください。
≪「渋谷のラジオ」で放送中!≫
渋谷消防団第4分団の皆さんへのインタビューは10月17・24・31日に「渋谷の星」で放送します。
問合せ:広報コミュニケーション課広報係
【電話】03-3463-1287【FAX】03-5458-4920
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