―清掃員と利用者でつなぐ公共トイレのきれいのバトン。―
■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
「THE TOKYO TOILET」プロジェクトで、清掃を担当する東京サニテイション株式会社の皆さんに、トイレ清掃への気配りや思いを伺いました。
・東京サニテイション株式会社 専務取締役 渡邊晴彦(わたなべはるひこ)さん
「区民の皆さんと一緒に、きれいのバトンをつないでいけたらうれしいです。」
・東京サニテイション株式会社 トイレ事業部 恩田順司(おんだじゅんじ)さん
「「いつもきれいにしてくれてありがとう」など温かい言葉をいただけると励みになります。」
・東京サニテイション株式会社 トイレ事業部 山崎純一(やまざきじゅんいち)さん
「清掃の仕方を工夫し、きれいかつ長持ちする清掃を心掛けています。」
◆鏡や手洗い場を磨き、床や壁の汚れもきれいに
◇皆さんの自己紹介をお願いします。
渡邊:渡邊晴彦です。東京サニテイションは昭和39年に私の祖父が創業した、道路・公園・トイレ清掃を軸に自治体のインフラ整備を行なっている会社です。山崎さんと恩田さんは当社のトイレ事業部に所属し、主に「THE TOKYO TOILET」プロジェクト(以下、TTTプロジェクト)で設置された17か所の公共トイレの清掃を担当してもらっています。
恩田:恩田順司です。清掃の仕事を始めてまだ1年ほどです。一人で仕事に集中できて、社会貢献もできる公共施設の清掃に魅力を感じ、異業種から転職しました。
山崎:山崎純一です。公共事業に携わりたいという思いから清掃業に従事し、30年以上になります。
◇公共トイレの清掃で心掛けていることはありますか?
山崎:公共トイレは使用頻度が多いので、きれいかつ長持ちさせる清掃を心掛けています。たとえば、成分の強い洗剤を使えば汚れは落ちますが、一方で陶器などが傷みやすくなってしまうので、洗剤・道具の使い方やブラッシングの方法など、清掃の仕方を工夫することが大切です。また、公共トイレは屋外にあるので、雨風で砂や落ち葉が入ったり、虫が飛んできたりもします。床や壁の汚れをできるだけ取り除き、家のトイレの清潔感に近づけられるように目を配っています。
渡邊:家と公共空間のトイレの大きな違いは、その場所を自分の知らない人と共有することです。「誰が使ったか分からない」という心理的な壁をできるだけ低くして、気持ちよく使っていただけるように、私たちは“光り物”と呼ばれる鏡や手洗い場から清掃を始めます。ここをきれいにしておくと、トイレに入った瞬間の印象が大きく変わるんですよ。
◆早朝から夜まで、17か所のトイレを1日1〜3回清掃
◇公共トイレの清掃員として、TTTプロジェクトについて率直にどのように思いますか?
山崎:初めて17か所のトイレを見た時は「すごい!」と驚くと同時に、新たな気持ちで清掃に向き合わなければ、と身が引き締まりました。従来の公共トイレではあまり見掛けない素材なども使われているので、トイレごとに洗剤や道具、清掃の仕方も少しずつ変えています。
恩田:斬新なデザインで、今までにない公共トイレなので清掃方法も試行錯誤しました。ですが、その分思い入れも大きいです。
◇TTTプロジェクトのトイレでは、日々どのような清掃を行なっているのでしょうか?
渡邊:通常の公共トイレでは、水で汚れを落とす「湿式(しっしき)清掃」を行うことが多いですが、TTTプロジェクトのトイレは温水便座や電気制御を取り入れたものが多いので、水を使わない「乾式(かんしき)清掃」を行なっています。乾式清掃は漏電のリスクを減らしたり、利用者の服の裾や靴が濡れずに済んだりと利点も多いですが、湿式清掃の約4倍の時間がかかり、よりきめ細やかな技術が求められるんです。また、毎日の乾式清掃以外にも、蓄積汚れを重点的に落として機械で磨き上げる月1回の定期清掃、作業時間が長い床のコーティングや屋根などの清掃を行う年1回の特別清掃があります。さらに、第三者機関の「トイレ診断士※」にトイレの清潔度を評価していただく取り組みも行なっています。
※トイレの総合メンテナンス事業を展開する株式会社アメニティが社内制度で導入して、平成15年に厚生労働省の社内検定制度で認定された資格。においや汚れなど表層的なチェックに限らず、維持管理や発生し得るトラブルまでを科学的に診断する。
◇1日の清掃スケジュールを教えてください。
山崎:利用者が多い公共トイレは1日3回、少ない所は1日1・2回の頻度で清掃しています。一人で17か所を回るので、交通情報やトイレの利用状況を加味して効率的なスケジュールを組み、毎日ほぼ同じ時間帯に清掃に入るようにしています。私は朝4時台から昼すぎごろまで作業をする早番の担当です。
恩田:私は遅番の担当で、昼すぎから21時くらいまで作業をしています。汚れを前にするとスイッチが入ってしまい(笑)、時間が多少オーバーしてしまうこともありますが、仕上がりに妥協はできません。湿度が高い日は鏡などが曇りやすく、風が強い日は土埃(つちぼこり)がたまりやすいなど、天気によっても作業内容や時間は多少変わります。
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