◆市長対談コーナー
第11回 竹本 久志(たけもと ひさし)さん
(「狛江水辺の楽校」運営協議会副会長・市民事務局長)
市内の各分野で活躍されている方(躍動人)に、市長がお話を伺うコーナーです。
今回の躍動人は、「狛江水辺の楽校」の活動に長年携わっている竹本久志さんです。自然体験と環境学習の場である「狛江水辺の楽校」の活動内容をはじめ、多摩川に対する思いなどを伺いました。
◇「狛江水辺の楽校」の活動
市長 「狛江水辺の楽校(がっこう)」は、平成13年に国から登録認可を受けました。竹本さんはその立ち上げから携われているので、本当に長い間に渡ってご活躍いただいています。
竹本 大変なことをしているという感覚は全くなくて…。いつも楽しみながら活動しているだけですよ。
市長 「水辺の楽校」は「学ぶ」ではなく、「楽しむ」という言葉が使われています。まさに竹本さんご自身も楽しまれながら活動されている訳ですね。当初、どういった経緯で「狛江水辺の楽校」を立ち上げられたのでしょうか。
竹本 そもそもは、子どもがきっかけなんです。子どもと一緒に多摩川に遊びに行った際、当時はごみが落ちて汚れていたり、とにかく荒れていて…。そこで、多摩川に出掛けては家族と一緒に清掃活動を少しずつ行うようになりました。
市長 ご家族だけで続けるのは、さぞかし大変だったのではないでしょうか。
竹本 仰る通りです。自分たちの力だけではどうにもならないことも出てきてしまって、京浜河川事務所にお願いや相談をするうちに、次第に狛江で「水辺の楽校」を立ち上げてみませんかと勧められるようになりました。それがスタートですね。その頃には、多摩川の持つ面白さにどっぷりと漬かり始めていました。
◇多摩川を通じた自然学習
市長 私も子どもの時は、多摩川によく遊びに行っていました。セルビンとヨツデを持って、魚を捕りに行ったものです(笑)。
竹本 市長は「川ガキ」だったんですね(笑)。でも、子どもたちにそういった体験をたくさんさせてあげたいという思いが、「水辺の楽校」の活動のベースになっているんです。
市長 それこそ泥んこになって、親に怒られたなんてこともありましたが、振り返れば川遊びを通じて、いろいろなことを学びました。
竹本 これまでの23年間で、累計7万2000人の子どもたちが参加しています。子どもの時に川で楽しい体験をしていると、川と真剣に向き合う大人へと育ち、次の世代の子どもたちにも川の面白さや怖さ、そして自然の素晴らしさを伝えてくれるはずです。
市長 自然体験は、親自身が子どもの時に経験していないと、自分の子どもにも体験させてみようという発想になかなかつながりにくいかもしれないですね。
竹本 親が一種のかがみになるんでしょうね。
市長 一口に自然体験と言っても、例えば魚がいつ卵を産んで、いつ孵(ふ)化して大きくなっていくのか。それを直に体験することが、生き物や自然を大切にする心優しい気持ちが育まれていくきっかけになると思います。
竹本 見て触れて感じるという体験の中で、「命」を学ぶことができます。「命を大事にしなさい」と、言葉だけで簡単に理解できるものではありません。自分で体験するのが何より大切です。
市長 実際に子どもたちが成長していくのを見守るのも楽しみの一つですよね。
竹本 参加する子どもたちがみんなかわいい孫に見えるんですよ。子どもたちは子どもたちで、私のことを「竹ジイ」って呼んでくれて(笑)。
市長 ほほ笑ましいお話です(笑)。子どもたちにとって、まさに多摩川が「ふるさとの川」になっているんでしょう。
◇狛江市民の「多摩川愛」
市長 20年以上の活動が認められ、「狛江水辺の楽校」が公益財団法人河川財団から表彰を受けたと伺いました。
竹本 気が付けば23年間経っていたという感覚が強くて。その背景には、市民の皆さんにバックアップしていただいたり、行政が一緒に手伝ってくれたり、狛江市全体のチームワークが出来上がっているから続けられているんだと思います。
市長 令和元年東日本台風の時には、流れ着いたごみや土砂で埋まってしまい、復旧作業が大変だったと思います。
竹本 狛江のすごいところは市民力。2年かかって、皆さんの力を合わせながら湧き水や小川を復活させて、一方で、市長にも国土交通省に掛け合っていただいて、官民一丸となって無事に復旧することができました。
市長 多摩川という場所に対する市民の皆さんの「愛」を改めて感じます。
竹本 これから私の好きな夏を迎えます。川流れ体験ができるようになりますし、今月はアレチウリ駆除活動のキックオフイベントも行われます。「水辺の楽校」でどんなことをやっているのか、ぜひ市民の皆さんには一度のぞいていただけたらと思います。
市長 竹本さんからすると特別なことではなく、普通のことをやってきただけなのかもしれませんが、この継続力は尊敬すべき大変素晴らしいことです。引き続き、魅力ある多摩川を一緒に作り上げていければと思います。本日はありがとうございました。
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