■町田市障がい者差別をなくし誰もがともに生きる社会づくり条例
すべての人が、障がいの有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目的に制定され、10月に施行予定です。
条例の詳細とインタビューの全文は市HP(本紙二次元コード)をご覧ください。
日常的に車いすを使用している大学生の玉置陽葵さんと、カフェ・レストラン「44APARTMENT 薬師池店」の須賀彩水さんにお話を伺いました。
○玉置さん
基本的に移動は電動車いすを使っています。通学は毎日電車で、駅員さんにスロープをお願いしています。一部の駅ではバリアフリー化が進んでいますが、待ち時間が長くなることもあるので、普段から時間に余裕を持って外出しています。
お店に行くと通路の幅が狭かったり、物が置いてあったりすることがあります。工夫すれば車いすでも入れるかなと思っても、忙しい中店員さんに頼むのも申し訳ないと感じることも…。そんな時、店員さんから声を掛けてもらえると安心して入れますね。
・誰もが多くの選択肢を持てる社会へ
障がい者専門の芸能事務所での活動を通してさまざまな障がいのある方と関わる中で、障がいのある方の選択肢の少なさをすごく感じています。障がいが理由で何かを諦めないといけないという状況が変わっていってほしいです。
差別的な取り扱いを受けずに教育を受けられる、行きたいところに行ける、安心して生活でき、誰もが多くの選択肢を持てるような社会になってほしいですね。
・安心できるまちはみんなで作っていくもの
中学生の頃は今より内気な性格で、周りから「自分とは違う存在」と思われているんだろうなという思いを持っていました。
高校生になったとき、学年集会でみんなに「いい意味で自分と違う存在と思わないでほしい」と伝えると、学校生活を送りやすくなりましたし、気持ちがすごく軽くなりました。
そういう経験をしたからこそ、次は自分が「ちゃんと伝えれば理解してもらえるよ」ということを伝えていきたいです。
障がい者の中には過度な配慮は求めていないという方もいると思います。私たち当事者もどんな配慮が必要なのか伝えていく努力が必要ですし、配慮をしてくださる方たちも、どういうふうにしてほしいのか寄り添って聞いてくださるとうれしいなと思います。
安心できるまちは、みんなで作っていくものです。一人ひとりの意識が変わっていってもらえたらうれしいです。
○須賀さん
公共の公園の中にあるため、元々バリアフリー等を意識して店内も段差がないような作りになっています。常連のお客様には車いすを使用している方だけでなく、聴覚障がいのある方もいます。お客様と会話するために手話を学んだスタッフもいますよ。聴覚障がいのあるお客様とスタッフが手話で会話していたときに、偶然他の聴覚障がいのあるお客様がその姿を見て、お客様同士の会話が広がった、ということがありました。さまざまな方に安心感を持って来ていただけていることがうれしいですね。
・誰にとっても心地良い空間を提供したい
お店を利用する背景は人それぞれ違うので、日頃から皆さんが自分らしく、リラックスして楽しんでいただけることを意識しています。同じ空間にいる方々とも心地良い時間を共有するために、周りの方の理解を促すような声掛けにも取り組んでいきたいですね。
こうしてくれたら安心する、お店にこんな要素があって入りにくいなど、障がいのある方のお話を実際に聞いて知るきっかけが増えていくと、お互いの理解につながると思います。
地域に根差したカフェ・レストランとして、幅広い年代の方や障がいのある方を含めて、一人ひとりとコミュニケーションを取って、皆さんにとって安心して来ていただけるような場所を提供していきたいです。
◆障害の社会モデル
障がいのある人が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限は、障がいのある人自身の心身の機能障害のみが原因ではなく、社会の側にさまざまな障壁(バリア)があることによって生じるものであるという考え方です。障害の社会モデル等について知ること、理解を深めることが差別の解消につながります。
○社会的障壁(バリア)の例
・障がいのある人にとって利用しづらい…建物や交通のバリア
・障がいを理由にサービスや資格を制限する…制度のバリア
・障がいのある人の存在が考えられていない…慣習や文化などのバリア
・障がいのある人を無視したり子ども扱いする…心のバリア
◆不当な差別的取り扱い
正当な理由なく、障がいを理由としてサービスの提供を拒否したり、制限したり、障がいがない人と異なる対応をすることです。合理的な配慮をしないこと、不当な差別的取り扱いをすることを「差別」といいます。
例えば…:
・盲導犬や聴導犬と一緒に入店することを拒否する
・障がいがあることを理由に、対応を拒否することや順番を後回しにすること 等
◆私たち一人ひとりができる身近な合理的配慮
・会話をするときは、介助者や支援者、付き添いの人だけに話しかけず、本人に向けて話しましょう
・ヘルプマークを付けている人が困っていたら、「お困りですか?」と声を掛けてみましょう
声の掛け方に悩んだら「何かお手伝いできることはありますか?」と聞いてみましょう。
■合理的配慮 町田市の取り組み
○災害時等障がい者支援バンダナ
災害時等に身に着けることで、周囲に障がいがあることを知らせ、避難行動などの際に支援を受けやすくするものです。
○窓口での筆談対応(耳マーク)
耳マークは、聞こえが不自由なことを表すマークです。市役所の窓口では、耳が不自由な方や、聞き取りづらい方へ筆談等での対応を行っています。
○ヘルプマークをご存じですか?
義足や人工関節、内部障がい、難病、妊娠初期など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としていることを知らせるマークです。
問合せ:障がい福祉課
【電話】724-2147【FAX】050-3101-1653
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