「東京組紐」平田武士氏
厳選された絹糸による唯一無二の逸品
組紐の歴史は深く、縄文時代にまで遡る。装飾的な性格を持ちながら、伸縮性にも富むという機能性を兼ね備えていることから、武家が台頭する時代には、兜や甲冑を作るうえで欠かせないパーツとなった。17世紀以降には庶民が使う帯締めや根付け紐などに発展を遂げながら現代に至る。
「祖父である初代平田竹峯の意志により、弊社は紐一筋。また、純国産にこだわり群馬県産の春子繭を使っています」そう語るのは三代目竹峯として修業中である、平田武士氏。「子どもの頃から祖母の家に遊びにいくと、糸があり、職人が黙々と仕事をしていた。それが当たり前だった」と言う。二代目竹峯である父、晃氏の指導を受け、現在は純国産品の特色を最大限に生かした作品を製作している。
一本の組紐ができるまでには、紐を組む職人だけでなく、材料の繭を生産する養蚕業、繭から生糸を染める染色業と、多くの職人の緻密で繊細な手が加えられている。近年、生活様式の変化による消費の減少や後継者不足などにより、この伝統工芸技術の存続が危ぶまれている。
この長い歴史に裏打ちされた揺るぎない日本の伝統美である“組紐”の技術を後世につなぐ。武士氏の今後の活動に期待したい。
株式会社平田組紐【電話】3959-2914
豊島区伝統工芸保存会ホームページ【HP】https://toshima-dentokogei.com/
問合せ:商工グループ【電話】4566-2742
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