豊島区長 高際みゆき
大正大学 2年生 近藤咲歩(こんどうさきほ)
お茶の水女子大学 2年生 小澤彩希(おざわあやき)
TCA東京ECO 動物海洋専門学校 2年生 宇佐見海翔(うさみかいと)
■わたしたちが考える つながるまち
座談会が行われたのは国指定重要文化財の「自由学園明日館」。豊島区で大正の歴史を今に伝える建築物です。
豊島区では「“ひとが主役” みんなでつくる “としまの未来”」を合言葉に、様々なまちづくりを積極的に推進しています。
2024年新春座談会のゲストは「はたちのつどい」の企画検討メンバーを務める3人の若者たち。豊島区をどんなまちにしていきたいかを高際みゆき区長と語り合いました。
◆安心な暮らしには“居場所”が大切
高際:今日は若い皆さんの率直な意見が聞けると思って、楽しみにしていました。よろしくね。
一同:よろしくお願いします!
高際:ところでみんなは「すずらんスマイルプロジェクト」って知っている?豊島区は子育て世代への支援や学びの環境づくりには力を入れてきたんだけれど、コロナの時に、大変な状況にある10代・20代の女性たちが多いことが明らかになって、10人の女性職員と若い女性を支援するこのプロジェクトを始めました。わかってきたのは、若い女性の「居場所」が少ないことで心が不安になるということ。だから今、居場所づくりにも取り組んでいます。みんなはどう思う?
小澤:すごくわかります。私の周りでも大学生になってから自由な時間が増えて、何をしたらよいか、将来どうすればよいか悩んで内向きになってしまう友達は多いですね。
高際:小澤さんは学校や自宅以外で居場所はある?
小澤:地元ですね。小学1年生の時に東日本大震災が起きたんです。下校途中、1人で歩いている時に地震が起きて動けないでいると、近所のおとなの方が「こっち、おいで!」と声をかけてくれて、本当にホッとしたことを覚えています。
高際:もしもの時にも人とのつながりが活(い)きてくるよね。最近はどう?
小澤:商店街にはよく母と買い物に行きます。お店の方とも顔なじみで地域のコミュニティって大切だと思います。
近藤:私は通っている大正大学のある巣鴨のカフェでバイトをしていますが、秋によさこいのイベントがあったんです。カフェのお客さんも参加していて、「よさこい、楽しいよ!」と話がはずみました。地域のイベントって、人のつながりを感じられていいですね。
高際:確かに地域は居場所としても大切だよね。宇佐美くんはどう?
宇佐見:僕の居場所は公園ですね。最近は南池袋公園やイケ・サンパークも新しくなって、カフェも併設されています。子どもたちだけでなく、おとなや若者もたくさん訪れています。それぞれが笑顔で過ごしている姿を見ると、わくわくしますね。
◆ウォーカブルでにぎわうまちに
高際:昨年の秋に「IKEBUKURO LIVING LOOP」ってイベントがあったんだけど、行ったことある?
宇佐見:行きました!取組みが面白いです。路上にお店が出たり、アートがたくさん広がっていて、まちがいつもとちがう表情をしていました。
高際:そうそう、「まちなかリビング」をテーマに、通りにキッチンカーやいろんなお店が出ておいしいものを販売しているの。訪れた人はベンチや歩道でゆったりと好きなものを食べて過ごせて、隣りあった人同士で会話が生まれたり。こういう居場所もいいよね。
小澤:つながるきっかけって、実はまちの中にあるんですね。私は要町駅に置いてある白いピアノを時々弾いています。クラシックからポップスまで演奏されていて、リピーターの方もよく見ます。
高際:うれしいなぁ。みんなが楽しんでくれているんだね。
宇佐見:駅といえば、僕は池袋駅の西と東の通路が課題だと思います。今は、ウイロードとびっくりガード、そして駅の地下通路で東西を行き来できますが、どれも移動のためだけの通路です。そこで「とどまれる通路」があったらいいな、というのが僕のアイデアです。
高際:眺めがよくて、そこに居たくなるような場所?
宇佐見:最近の公園みたいにカフェがあり、電車の往来を眺めながらのんびり過ごせる空間です。
小澤:いいアイデアですね!その空間で音楽イベントができればもっと開放的になるかも。
近藤:豊島区には素敵なスポットがたくさんあるから、音楽などのイベントで人の流れが広がれば、区全体ににぎわいが生まれますね。
宇佐見:それと、アーティストが作品を発表できる場がたくさんあるまちになったら面白いなと思います。豊島区には、芸術家が集まって創作活動をしていた「池袋モンパルナス」という歴史があった。まちとしてその歴史を引き継いでいきたいですね。
高際:「池袋モンパルナス回遊美術館」がまさにそのイメージだね。区内のいろんな所でアートが見られるイベント。マップを持ちながら歩いてめぐっていく。すごく素敵な文化です。
◆人と人がつながれるまちへ
高際:豊島区ではこれまでも高齢者、障害のある方々、子育て世代、外国籍の方々と連携してきましたが、今まで以上に子ども、若者、女性の話をしっかり聞きたいと考えています。特に若者にはどんどん提案してもらい、まちづくりに参画してほしいです。
宇佐見:先日中学校を訪れた時、自分が中学生の時に取り組んだ課題を今の生徒たちがやっていたけど、クオリティが高くて、発想も豊か!自分より若い世代の声には耳を傾けなきゃと思いました。
高際:20歳でもそう感じるんだね。若者の意見は本当に大切。だって、まちづくりは10年、20年と長い時間がかかるもの。だからこそ若いみんなの意見を取り入れられます。若者が意見を伝えやすくするにはどうしたらいい?
宇佐見:「意見ボックス」を設置するのはどうですか。小・中学生が利用する施設や区内にある8つの大学のキャンパスに設置したら伝えやすくなると思います。
小澤:私は今日話してみて、おとなが若者の意見を聞こうとしてくれているんだから、私達も自分たちから「もっと伝えなきゃ」と思いました。一歩踏み出してみると、いろんな世界があるから、「つながる」っていうことはこれからも大切にしていきたいです。
高際:うれしい意見だね。近藤さんはどう?
近藤:「つながる」ことが大切だと思います。女性や若者の意見って通りづらいなと感じていたので、つながりを結び、育むには交流が必要だし、自分の意見を伝えることも大事だなと思いました。
宇佐美:つながるためにはどのように動いたらいいですか。
高際:私は対面に勝るものはないと思っているんですよ。SNSも大事だけど、やっぱり外に出て行って人とつながることが大切だと思う。それでわくわくしながらどんどん歩いて、また誰かとつながれる。みんなでつながり合えるような、そういうまちにしたいな。
■2024としま「はたちのつどい」企画検討会とは
成人の日記念式典(はたちのつどい)を自分たちの手で盛り上げるために、公募で集まりました。式典後半では、メンバーが自主制作した映像放映や合唱などを行います。
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