■青梅市内にある指定文化財の銅鐘
文化財保護指導員 塚田直樹
時刻知らせ、除夜の鐘等を鳴らす寺院の鐘があります。
つつじで有名な塩船観音寺には、数多くの文化財があります。その中の一つ「銅鐘」は市の有形文化財です。銘文に刻まれた内容から寛永18(1641)年に、住職である法印智賢(ほういんちけん)の願いにより、杉本坊権大僧都良忍(すぎもとぼうごんだいそうずりょうにん)の菩提を弔うために鋳造されたものです。施主の近藤惣太郎は南小曽木の人、鋳物師の櫻澤市兵衛慰盛次(さくらざわいちべえじょうもりつぐ)は、羽村の五ノ神に住んでいた鋳工(ちゅうこう)の棟梁だったと言われています。製作者が分かっており、青梅市近隣で鋳造(ちゅうぞう)されたことなど、経緯が分かる銅鐘として貴重なものです。
この銅鐘は永年保存のため、現在は打鐘(だしょう)はせず、使用する際(除夜の鐘等)は別の鐘を使用しています。この銅鐘を設置している鐘楼の茅葺屋根の腐食が進行したため、このたび葺き替えが行われました。
また、市内今井の薬王寺にある銅鐘も市有形文化財に指定されています。こちらは、青梅村の裏宿に住む鋳物師島村照思が鋳造したもので、市内の鋳物師が製作した唯一のものと言われています。
他には、根ヶ布の天寧寺にある銅鐘は国の重要美術品として認定を受けています。
問合せ:郷土博物館
【電話】23-6859
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