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国際交流員ウィルペルトのコラム

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栃木県下野市

■農民の知恵と格言
Bauernweisheiten und Redewendungen
(バウァンヴァイスハイテン ウントゥ レーデヴェンドゥンゲン)

ドイツには「農民の知恵」と呼ばれる、天気にまつわる言い伝えや伝統的なことわざがたくさんあります。今回はその一部を紹介します。
ドイツ人の多くは、この時季、「Der April macht,was er will.(デア アプリル マヒトゥ,ワス エア ウィル)(やりたい放題の4月)」という農民の格言を思い浮かべます。これは、4月の天気が非常に気まぐれで予測不可能であることを意味します。少し前まで青空だったのに、急に雨が降りだしたり、突然雷雨になったり、短時間で雪が降ったりすることもあります。一方5月は、ドイツでようやく冬の寒さが完全に好転し、牛が放牧に行けるようになる「Wonnemonat Mai(ヴォッネモーナトゥ マイ)(歓喜の5月)」とみなされています。農民の知恵には「Mairegen bringt Segen(マイレーゲン ブリングトゥ ゼーゲン)(5月の雨は恵みをもたらす)」というのもあります。なぜかというと、雨は植物の成長にとってとても大切なものだからです。したがって、5月に良い雨が降れば、植物がよく育ち、収穫も多くなります。「Abendrot,Schönwetterbot – Morgenrot mit Regen droht(アーベンデュロートゥ,シェーンヴェッターボートゥ-モルゲンロートゥ ミトゥ レーゲン デュロートゥ)(夕方の赤は良い天気の前兆- 夜明けの赤は雨の脅威を伴う)」もドイツらしい言い回しです。赤い夕日は、西の空に雲がないことを意味します。ドイツでは、低気圧や雨雲は西からやってくることが多いので、そこに雲が集まりそうかを確かめれば、雨が降るかどうかが分かります。また、朝、東から昇る太陽が西に集まる雲を赤く染めるので、朝の赤い空は雨の可能性を表します。
別の農民の知恵は「Eine Schwalbe macht noch keinen Sommer.(アイネ シュワルベ マヒトゥ ノッホ カイネン ゾッマー)(ツバメ一羽では夏を越せない)」というものです。ドイツ人にとって、ツバメは暖かいアフリカで冬を過ごす渡り鳥なので、春の到来を告げる鳥と考えられています。しかし、空にツバメを一羽見つけたからといって、待ちに待った夏がすでに始まろうとしているというわけではありません。早とちりは禁物!という意味や注意としても使われる言葉です。
天気とは関係なく、もともとドイツ人の日常生活で最も身近なもの、つまり動物に関する格言もたくさんあります。誰かにもらったプレゼントが気に入らないときに文句を言うのではなく、その行為に感謝するように言いたいときには、「Einem geschenkten Gaul schaut man nicht ins Maul.(アイネム ゲシェンクテン ガウル シャウトゥ マン ニヒトゥ インス マウル)(贈り物の馬の口を見るな)」と言います。この格言の由来は、過去に馬を取引する際、人々が馬の口を調べることで、馬の年齢や状態を判断したことです。なぜかというと、馬は年齢を重ねれば重ねるほど、歯が磨耗するからです。「価値に関係なく、もらったものには感謝すべき」という意味の格言です。
次の格言もよく耳にします。「Was Hänschen nicht lernt, lernt Hans nimmermehr.(ヴァス ヘンスヒェン ニヒトゥ レアントゥ,レアントゥ ハンス ニマメア)」直訳は「ハンスくんが学ばなければ、ハンスさんは学ぶことはない」です。子どもの頃は学びやすいけど、大人になってからは、癖が強くて変えられないという意味です。日本語では「矯(た)めるなら若木のうち」に当たるでしょう。幸いなことに、少なくとも言語学習に関しては、科学者はその格言が間違っていることを発見しました。子どもの頃に言語を学び始めると、20代以上になってから始めるのに比べて、最初は早く上達しますが、学習時間が経つにつれて差が小さくなります。8年から10年も続ければ、大人になってから学習を始めた人も子どものときから学んでいる人とほぼ同じレベルになれるし、その言語を使って生活している場合は、ネイティブスピーカーと同等のレベルに達することができるといいます。
最後に、「Kopf kalt, Füße warm, machen den besten Doktor arm.(コプフ カルトゥ フーセ ワルム,マヘン デーン べステン ドクトア アーム)(冷たいおでこと温かい足は、最高の医者でも貧しくする)」、この言葉を胸に、来たる新年度の皆さまのご健康をお祈り申し上げます!

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日時:(火曜日・全10回)4月9日~6月11日 午後6時30分~7時30分
場所:市民活動センター
対象者:市在住の中学生以上の方で、ドイツ語に興味がある方
定員:12名(応募者多数の場合は抽選)
申込期間:3月11日(月)~18日(月)

申込み・問合せ:市民協働推進課
【電話】32-8887
【メール】shiminkyoudousuishin@city.shimotsuke.lg.jp
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