大田原マラソン大会は、昭和63年に始まり、昭和・平成の時代を超え、令和5年の今年で第33回を迎えます。
令和2年から令和4年までの3年間は、42年ぶりに栃木県で開催された第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」準備のため休止としていました。休止している間には新型コロナウイルス感染症が世界的に猛威を振るい、私たちの生活様式は大きく変化しました。
令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」になり、少しずつですが、以前の生活、地域活動を取り戻しつつある状況です。
大田原マラソン大会は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、コースを新たにランナーと共に再び走り出す瞬間を迎えます。この特集では、昭和に始まった大田原マラソン大会について、開催当時を振り返ってみたいと思います。
昭和59年、当時の渡邊正義市長が「市制30周年を記念し、大田原市に栃木県内唯一の日本陸上競技連盟(以下「日本陸連」)公認のマラソン大会を誘致する。」と掲げたことが、大田原マラソン大会誕生のきっかけとなりました。
大田原マラソン大会の前身となる大田原青年会議所主催の大田原那須与一健康マラソン大会(昭和54年~61年)、那須陸上競技協会主催の那須野ヶ原マラソン大会(昭和58年~62年)が統合となり、昭和61年に日本陸連のコース検定を受け、昭和62年に日本陸連の公認を取得し、第1回大田原全国マラソン大会は、昭和63年12月4日に産声をあげました。
当時の大田原マラソン大会は現在の制限時間4時間よりも更に厳しい「制限時間3時間30分」でしたが、全国各地より1,780名の腕自慢、もとい脚自慢の方が参加しました。第5回大会からは現在の4時間制限に変更されましたが、6時間前後の制限時間の大会が多い中、今日に至るまで大田原マラソンの大きな特徴として厳しい制限時間が守られています。
開催日についても、第5回大会から現在と同じ「11月23日勤労感謝の日」に固定され、マラソン界隈では「勤労感謝の日…大田原マラソン大会」と認知されるようになりました。
また、大田原マラソン大会のフィニッシュ後に提供される地元の新鮮な食材を使った「お味噌汁」は走り終えたランナーたちのエナジードリンクとして第1回大会から現在まで引き継がれています。
■歴代のコース変遷
※コース図など詳細は、本紙またはPDF版4ページをご覧ください。
●初代コース[第1回~第7回]
当時の大田原市のライスラインを反時計回りに進み、国道4号手前を折り返し、大田原市街地を抜けて陸上競技場を目指すコース。
★第1回大会から有名選手を招待し、第2回大会には中山竹通(当時の日本記録保持者)、第4回大会に有森裕子(当時の日本記録保持者)が出場し、沿道から多くの観客がすずなりとなって声援を送りました。
主な出場選手(敬称略):
・有森裕子(リクルート)
・仲川栄二(ダイエー東北)
・中山竹通(ダイエー)
・大八木弘明(ヤクルト)
・阿久津浩三(福島整形外科病院)
・アロイス・ニジガマ(MDI)
●2代目コース
▽(1)[第8回~第12回]
第5回記念大会を一区切りとして、高低差の少ない「より記録の出るコース」との理念を掲げ、当時の大田原市中心部を2周回する高速コースに変更。
主な出場選手(敬称略):
・渋井陽子(那須拓陽高等学校)
・物江収(ヤクルト)
・麦倉美穂(カンセキ)
・鈴木賢一(富士通)
・谷川真理(ヴァーナルRC)
▽(2)[第13回~第22回]
陸上競技場の改修に伴い、復路ルートが陸上競技場の北門から進入するコースに一部変更。
星野芳美(eA静岡)が大会6連覇を達成(第16回~第21回)。
主な出場選手(敬称略):
・星野芳美(eA静岡)
・櫛部静二(愛三工業)
・千葉真子(豊田自動織機)
・川頭健一郎(NTN)
★第15回大会に大田原マラソン大会最高記録(男子)の2時間14分53秒で櫛部静二(愛三工業)が優勝。
●3代目コース[第23回~第32回]
平成17年の市町村合併を機に、大田原市内を巡る1周回のコースに変更。前半が下り、後半が上りのすり鉢状のコースでランナーの試練の一つ、大田原名物「那須おろし」が誕生した。
主な出場選手(敬称略):
・伊藤達志(JAなすの)
・赤川香織(スズキ浜松AC)
・小﨑まり(ノーリツ)
・郡司貴大(小森コーポレーション)
・下門美春(ニトリ)
・今井隆生(坂戸市陸協)
★第24回大会に大田原マラソン大会最高記録(女子)の2時間33分38秒で赤川香織(スズキ浜松AC)が優勝。
■4代目コース[第33回~]
令和5年に4年ぶりの復活を機にコースを刷新。前半が下り、後半が上りのすり鉢状のコースは3代目コースと、県道滝沢野崎停車場線を走るのは2代目コースと同じ。湯津上方面へ南下し、国道294号バイパスから国道400号を北上し、32km付近(新宿地内)では「新那須おろし」がランナーを待ち受ける。
主な出場予定選手(敬称略):
・松尾良一(旭化成)
・國司寛人(旭化成)
・今井隆生(SSAC)
・齋藤真也(K-project)
・加藤優陽(大田原信用金庫)
・伊藤達志(JAなすの)
・下門美春(埼玉陸協)
・澤畠朋美(さわはた~ず)
・鈴木絵里(秋田陸協)
・猫ひろし(ゲストランナー)
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