■民俗部会調査速報(15)~ウナギウケ・ドジョウウケ・カニウケ~
今回紹介する資料は、那珂川や箒川などの河川や用水路などで、ウナギやドジョウ、モクズガニをとる際に用いられた各種のウケです。これらは川漁師の人たちが専業として使用した道具とは異なり、農村地域の主に少年期の男子が親や友人と魚とりを楽しんだ、どちらかというと遊びの要素が加わった形で利用されてきたものです。捕獲された魚は貴重なタンパク源として食事のおかずや酒の肴として食用にされたほか、一部は川魚店に買い取ってもらったという話も残っています。
ウケの素材には竹や篠竹が用いられていますが、製作技法によって2つに分類できます。まずは、基本的には笊(ざる)と同じ技法で作られている一群で、竹を割りやや太めで平たく長いヒゴ6本を芯材として、そこに細いヒゴや薄く平たいヒゴを交互に編み込み、細長い円筒形に編み上げられたものです。もうひとつは、竹を角棒状に整えたヒゴや細い篠竹を麻紐などで編み込んで簀(す)の子(こ)状にし、その両側を結んで円筒状やカマボコ状にしたものがあります。
いずれのウケにも、カエシと呼ばれる中に入った獲物が逃げられないようにする部品が付属しています。ドジョウやカニなどのウケにはカエシは1か所、ウナギの場合は2か所に装着する場合が一般的です。ウナギやカニの場合は、ミミズやアユ、小魚などを餌として詰めました。
(民俗部会 上野修一)
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